2013721日 第15回 関東ウェーブの会オフ会記録

はじめに

今回のオフ会は、過去最高の参加人数となりました。スタッフも含め、全体で35名の方々が参加してくださいました。

人数が多かったおかげもあり、関東ウェーブとしては初の試みとなる「分科会(グループトーク)」などを行うこともできました。

分科会の各話題内容も、全体での話し合いの内容も、躁うつ病をもつ人間としては普遍的な話題ばかりした。

時間の都合上、各議題にとれる時間は少なめでしたが、どの話題も内容のある濃い話し合いになっていました。

この記録は、オフ会の流れと「懇談会」で話し合ったことの要約です。

参加された方にはぜひ

目を通していただき、今回のオフ会が少しでも記憶に残るようなものになれば幸いです。

参加されなかった方々にも、この記録が何かしらの参考になり、そしてオフ会に興味を持っていただくきっかけになればと思います。

オフ会の流れ

13301415 レク(風船バレー)

14301530 自己紹介

15451635 懇談会-分科会(グループトーク)詳しい内容は下記

16501800 懇談会-全体での話し合い詳しい内容は下記

18002030 懇親会

2100        有志で2次会(居酒屋)

レクの風船バレーは、本格的なコートを会場に作り、チームに分かれて対戦形式でプレーしました。

続く自己紹介では、時間の都合上、今回は1人2分とさせていただき、簡潔に病歴・体調・服用している薬など についてお話いただきました。

参加人数については、懇談会の時点で最大34名、懇親会で最大25名(どちらもスタッフを含む)でした。

懇談会で話し合われたことの要約

【分科会】

分科会では、まず3つのグループに別れ、それぞれのグループでそれぞれの話題について話し合った。

その後、各グループごとに話し合ったことを全体へ発表した。

(1)分科会のグループは以下のとおり・第1グループ:薬について(薬物治療の効果・デメリットについて)・・・10

・第2グループ:理解を得る方法について(家族や身近な健常者との接し方について)・・・13

・第3グループ:アルコール(過食・タバコ等依存症)との付き合い方・・・11

(2)各グループの全体発表のまとめ

@第1グループのまとめ

・薬はそもそもQOL(生活の質)を上げるのが目的で服用しているので、効き目を自分で認識し、コントロールしていかなければならい。

・医師の中には「患者の状態がよくわからないままとりあえず薬を出す」人もいるように思われる。私たち患者がしっかりと医師に自分の状態や調子を言っていかなければならないと考える。

・最近は、統合失調症に主に使われていた薬が躁鬱にも使われるようになっている。

A第2グループのまとめ

・家族・会社の人間・恋人など、さまざまな対象に対して、カミングアウトするかしないかという意見が出た。

家族以外にはまったく自分の病気を話していない人から、友人や会社にもある程度カミングアウトしている人までさまざまであった。

・自分が躁鬱で病気だ、とネガティブに自分を差別してしまうと、辛くなる。自分で自分を差別せず、病気の部分を持ちながらも1人の多面性を持つ人間として周りとつきあってみては。

・病気である、という「後ろめたさ」をモチベーションにして治してやる、という気持ちを引き出すもの一手。

B第3グループのまとめ

・物質依存の大きなものとして、4つが挙げられると考える。

アルコール・炭水化物や甘いお菓子などの食べ物・タバコ・コーヒーなどのカフェインの4つ。

・アルコールに関しては、アルコール依存症が併発してしまう危険性があるので付き合い方には気をつけなければならない。完全断酒をしている人もいる。

・炭水化物などの食べ物に対する依存は、糖尿病などになってしまう危険性がある。これは、薬の副作用として過食のようになってしまうこともあるので薬との関係も頭にいれておくべき。・物質依存になってしまったときの問題点は、社会参加がしにくくなってしまうということ。

そうなってしまったら、AA(アルコホーリクス・アノニマス)やデイケア、作業所などに参加し、社会参加の姿勢を取り戻していくことが望ましいと考える。

分科会まとめは以上

【全体での話し合い】

全体では、3つの話題を話し合った。

3つとも、話題を提案してくれた方の思いを聞き、それに対する意見やアドバイスを話し合っていくという形で話し合いが進んだ。

(1)3つの話題

@うつについて ・・・うつやひきこもり、過眠をどうやりすごし、のり超えていくか

A躁について    ・・・躁状態のコントロール方法。躁時の行いを後で後悔しないための気持ちの切り替え方

B躁うつ哲学    ・・・躁うつ病者として生きがいをどこにおいたらいいのか

(2)各話題で話しあわれたこと

@うつについて

話題提案者の思い:自分がうつ状態のときは、昼間は「死んだように」なって生活しており夜も寝てしまう。

一日19時間ほど寝ている状態が続いてしまう。みなはそのようなことはあるか。また、ならないためにどのような工夫をしているのか。

まず、全体に過眠を経験したがあるか聞いたところ、全体の3分の2以上が過眠を経験していた。

(以下は過眠を経験した方からの意見・アドバイス)

・自分は、過眠課活動過眠、というパターン。医師からは、「何時に眠ったとしても必ず起きる時間を一定にし、外へ出て太陽の光をあびることを心がけよ」と言われた。

・休職中は、「仕事に行くときに起きている時間」に起き、家にいると寝てしまうのであれば外出するのが良い。

・夜0時から2時はうつになりやすく、自殺率も高い時間帯だと聞いた。その時間は寝たほうが良い。

・社会リズム療法を取り入れる、睡眠リズム表をつけることも自分を客観視し改善していくのには有用。

・作業所などへ行くことの意義は、朝一定の時間に起き、外出することにもあると考える。

・自分は朝の光を浴びれるように、あえて部屋にカーテンをつけないでいる。

・あまりにも寝すぎ、日中も眠くて仕方がない場合、躁うつの影響だけではない可能性も考えられる(ナルコレプシー等)。病院で睡眠検査をし、睡眠の深さや質を測ってみるのも一手。

・自分は眠りの刺激になるようなPCなどを一切やらないようにしている。

・過眠は、うつ期に自分の必要な睡眠をとっている、と考えることも必要。

・寝てしまうことに罪悪感を覚えず、開き直って起きている時間に有意義なことをすることも大切ではないか。

他、うつについての意見

・自分はうつに堕ちる恐怖がある。鬱になりそうなときは運動(登山等)をし、気分をよくするようにしている。

・その日の体調や、イベントを記録につけるとうつとその前後にある行動のパターンが分かる。

記録は重要。

A躁について話題提案者の思い:躁状態のコントロールの仕方が知りたい。自分は、躁状態のときに、@)友人に暴言を吐き友人を失ったA)いらない買い物(ネット等で)をしてしまう、という衝動性がある。

躁のときこそ自分を一歩引いて見られるようにしたいが、みなはどのような工夫をしているのか。

(以下、「A)いらない買い物をしてしまうこと」についての意見・アドバイス)

・自分はクレジットカードをすべて破棄した。そのかわりに、口座金額以上は使えないようになっている、「ビザデビットカード」を使っている。このように使える金額を物理的に制限すること、買い物衝動から実際に買うまでの間にタイムラグを置くことで、抑えられている。

・定期預金にお金を移した。

・必要な支出と不必要な支出を見極めるために、家計簿をつけている。参加者全体に家計簿をつけている人がどれくらいいるか聞いたところ、3分の1程度であった。

(以下、「@)友人に暴言を吐いてしまった」ことについての意見・アドバイス)

・言葉には衝動性があるので、発する前に一旦考える・タイムラグをあける・一呼吸分置く、ことが大切。

・本人に直接ぶつけることはしない。

・朝からいらいらしているときは自分のその気分を認識し、ストレスが発生する人間には近づかないように心がけている。

・いやな場面からは理由をつけてでも逃げることも必要。たとえばトイレに行く、でもOK。

・躁状態のときはなかなか自分では気がつくことはできないので、自分と病気を良く知っている人間から指摘してもらうことも必要。ただし、躁の人に「躁だ」と指摘すると怒り出す可能性もある。

・自分をモニタリングすることも重要。モニタリングの方法は、使ったお金や睡眠時間など数値化できるものが好ましいと考える。

・メールや手紙は、書いてからタイムラグを置き、読み直してから送ったほうが良い。

・エネルギーを発散させ、怒りを表現する場というのも必要。じぶんなりのそれを見つけられると良い。

・認知行動療法を受けてみる。

・軽躁・微躁を保ち、生活に支障をきたさないためには正しい服薬は必要不可欠と考える。

・女性なら、女性特有の生理周期にいらいらが関わってきてしまっている可能性も有る。自分の周期を把握しておくべき。

B躁うつ哲学

話題提案者の思い:アップダウンの激しい躁うつ病患者として、みなはどのような生き方を望んでいるか、何を目標に生活しているのか、聞いてみたい。

(以下、個人個人の思い)

・自分は作曲をしていて、躁のときは上手くできていたが、その分人を大切にできていなかった。作曲という生きがいは今はなくなってしまったが、人を大切に思えるようになり「自分は幸せ」と思えるようになった。

・自分は夢はいろいろな条件が重なり実現できなくなってしまった。今は自分のできる範囲で小さいことでも生きがいを持てるようになりたいと思った。

・自分はこの病気になって仕事上の立場を失った。その仕事の場での成長が自分の生きがいだと思っていたが、これからは「本当の自分」を探していきたいと思う。

・「飯を食うために金を稼ぐ」精神で生きる。

・自分は研究の仕事が苦しく絶望感はあったものの、生きがいだった。躁になってからは、自分を苦しめる生き方を考え直すようになり、以前よりは気持ちを楽に持てるようになっている。

・自分は家族に対して尽くすことはできていないかもしれないが、「人のために何かをなす」のではなく、「人を和ませる」人間でいい、今のままの自分でよいと思えるようになった。「歯車にはなれないが、潤滑油にはなれる」

・自分の目標は障害者も健常者も「社会で生きている同じ人間として」生きていけるような世の中にしていくこと。

・自分は復職をしたが、以前の自分と比べてしまい、自傷をしてしまった。それからは、夢や希望を断ち切った。すると、気持ちは安定した。

・自分は写真や言葉などを使って「人と人の心を結ぶ」ことが目標。

・「人生の目的は目標を達成することだけではない。目標にはキリがない。人生の目的は身の程を知ること」という言葉がる。自分は「レベルアップではなく、チューニング」をする人生でありたいと思う。

・生き方は「科学」。

・今の世界をみていると、社会自体が「躁うつ病」のように見える。

全体での話し合い要約は以上

最後に

このあとの懇親会でも、25名のみなさんが参加してくださり、夕食を食べながらそれぞれに思い思いのお話をなさっていました。

情報交換をなさっている方、普段の環境ではなかなか言えない病気の悩みを話しあっている方もいれば、笑いが絶えないようなラフな話をしている方々もいらっしゃいました。

このあと有志で行った2次会も10名以上の参加となり、最後まで活発な一日になったと感じます。

参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

この会が、皆様にとって有意義なものであることを、スタッフ一同、心より願っております。

2013722日 関東ウェーブの会スタッフ一同