2015926日第20回関東ウェーブの会オフ会記録

≪はじめに≫

今回のオフ会は懇談会・懇親会を通して、スタッフを含め全体で名の方々が参加してくださいました。懇談会には18 名の方の参加となりました。比較的新しい参加者の方々が多かったですが、人数が少なかったこともあり、1人1人の意見を詳しくお聞きすることができました。今回は就労や働くことについてのディスカッションが多いことが印象的でした。なお、今回は関東ウェーブの会の10 周年でしたので、最後に関東ウエーブの歩みをシェアさせていただきました。記録の下にレジュメを添えましたのでご参照下さい。

以下は懇談会で話し合ったことの要約です。参加された方々には是非目を通していただき、今回のオフ会が少しでも記憶に残るようになれば幸いです。参加されなかった方々にも、この記録が何かしらの参考になり、そしてオフ会に興味を持っていただくきっかけになればと思います。

まずは基本的なオフ会の流れです。

 

≪オフ会の流れ≫

13:0014:00 自己紹介

14:1017:30 グループトーク(休憩含む)

  1: 就労について

  2: 就労移行支援・ハロワ・作業所等の体験談&情報交換

  3: 経済的に自立するために、所得をどうしているのか

  4: 躁うつを抱えながらどのように、どのようなところで喜びを見出しているのか。

    病気であっても充実した人生を送れるためには?

  5: 職場と家族以外で安心できる居場所・社会とつながっている、属していると思える瞬間はあるか。

17:4018:00 関東ウェーブの会の歩みについて

18:3020:30 懇親会

21:00〜 有志で2次会(居酒屋)

 

《懇談会の要約》

1.就労について

・話題提案者の話:就労について。

@)皆さんはなぜ働きたいのか(賃金の話以外)。本人としては、無職が恥ずかしいと思っているから。

A)問題提起:就労を唯一の目標とするのはいかがなものか。

【意見】

・セルフ・ヘルプの会では親の遺産で一生暮らせる状態な人がいた。その人は企業と労働者は50/50という意見であったが自分はそれには反対。また、就労以外のこと(野良猫の去勢)に命をかけている人もいる。

自分は障害者年金と職場の手当(7割)で十分に暮らしていける。むしろ働いてしまうと今もらっている所得がなくなる。自分は働いている人を見ると、本当に申し訳ないなと思っている。ただし、これから所得がなくなる予定なので、その後は暮らせる範囲で就労したいと思っている。・生きていくこととはつながりとコミュニケーションであると思う。今の日本社会で男性がコミュニケーションを取るには職場に行くしかないので、そのために行っている。会社以外でそのような場があれば会社にこだわりは持たない。

・人間は働くことを通じて人間になっていった。基本的なことだが、人間は社会を作り働きかけていくことで人間になるのである。しかし、今の社会での仕事をする理由は、食べるためになってしまっている。むしろ、仕事がないという事態は苦しいことで、労働を奪われるほうが人間は辛い。つまり人間はそもそも働きたく、それが楽しいはずである。なぜなた、人間が人間らしくいきるために働きたいと思う気持ちが人間には根本的にあるから。ただし、働かずに障害と戦うことも一つの生き方である。

@)社会参加したいから。一言で言うと暇だから。時間を持て余してしまうことを防げるし、賃金を得られるから。

A)就労が唯一の目標ではないと思う。人によって多種多様だと思う。

@)出かけないでいると一生引きこもる可能性もあるので働きたい。また、仕事によって緊張感やスリルが欲しい。自分が行動することに対して責任を持つことがあるかどうかで生き方は違うものになる。仕事上での危機解決が人間の面白みになることもあると考える。人間は何かの達成感を感じることや、身体や脳を動かすことにやりがいを感じるものなので、誰かに貢献をする・達成感のあることをする、ということが幸福になるから。

@)社会とつながること、コミュニケーションの大切さがあるから。自分は音楽と芝居をやっているので、「個人プレイ」であるが、それは自分に合っていないと感じる。演劇で人と関わるときのコミュニケーションと共感が自分の喜びになる。音楽で福祉系の仕事もしているが、人と繋がることが刺激になっている。喜んでもらったときの充足感、必要とされたときの喜びの為に仕事をする。それは人間にとって必要なことだと思う。 A)それが仕事ではなく違う目的であってもよいと思う。自分のできる身の丈にあったことで社会と繋がれればよい。

@)ウェーブにおいて就労=労働が今ほど話題になったことはない。これは現在の自立支援法との関係、そこから派生する問題と関係があるからである。労働とは、人間とは何かということに関わる根本的な問題である。人間は類的存在で、一人ひとりでは動物より弱いが、にもかかわらずなぜ力を持ったかというと、共同と労働があったから(共働)。今の労働に関するやり方は人間の歴史を逆転させている。

@)賃金労働に縛られなくても人間にしか作れないものを作り、考えられることを考えること自体が労働であると考える。賃金労働の枠内では生産的なものが作れないのが障害者。今は一障害者としての意識を持って生きることが自分の仕事だと思う。

・老後に貧困になるという話題が最近ある。それを読むとできるかぎり長い間働いていないとそのようになるという実感がある。医者に言われているのは、何かをやりたいというエネルギーがないと鬱になるから何かしなさいということ。自分の能力を活かしたいという気持ちがある。

・働くことはおもしろいし、責任感があるから。競争が好きで今勝つためには労働が必要だから。

@)自分は働かなくてもいいと思うし、働きたくない。それでも働く理由は生存のため。老後のこともあるから働かなければならないと思っているが、今の貯金で生きていけるのならば別に働かなくていいと思う。労働の延長線上に人間関係があるという発想がなかった。他にもいろいろ趣味があるので働かなくても大丈夫。

2.就労移行支援・ハロワ・作業所等の体験談&情報交換話題提案者の話:

上記の支援等を利用する際の注意点などがあれば教えてほしい。また、支援の種類や場所などもあれば教え

てほしい(ハロワの人は教えてくれなかった)。

【意見】

・ハロワについて:紹介してくるのは、健常者と同時に募集しているものしかなかった。身体は障害者のみの募集があるが、精神障害は怖がられているのか、募集や面接自体が少ない。ハロワで唯一手に入ったのは「職業リハビリテーションセンター」の情報。そこに入るためにはまずテストをする。学科試験は小学5〜中3レベルのテストでみな合格していた。ポスター作るプロやプログラマーなど、いろんな職種に分かれて研修がある。技能試験では3分の一くらい不合格になっていた。ただ、ワード、エクセルができれば入れるかもしれない。基本的には6時間学習で、学習奨励金が月10万もらえる。1年で卒業し、就職後の支援もある。

・就労移行について:自分が行っていた場所では、若い人びとはあまりやる気がないように感じた。クラフトもやるし、エクセルもやる、トランプもやる、全体的にレベルが低かったので2、3ヶ月でやめた。全国展開している「ウェルビー」にも行った。ここはほったらかしで、自分でできることを自分で見つけて着々をやる感じだった。ただし、週何回行かねばならないなどの縛りはある。職場の斡旋は基本的にない。

・就労移行について:自分は先日、施設にかよっている人のみを対象のパート社員になった。就労移行支援の施設は23区に100箇所以上ある。昼のお弁当は出、お昼代は自治体から出ているらしい。厳しいところはスーツで917の勤務、更に日報もあり週5日行かねばならないので症状が軽い人しか無理かもしれない。単極鬱の症状が軽い人を集めて就労させて、儲けようとして(実績をあげて)いるように感じた。そこでは体験実習もあったので様子を見極めることはできる。また、法人に就労するのには、最初は企業も精神障害者を敬遠していたが、雇わねばならないことになった。しかし精神障害者は勤怠がよくない(急に休むことをしたり無断欠勤が多い等)部分があるので、その点信頼がないのかもしれない。身体障害者はすでに就労している可能性が強いので、これからは精神障害者も雇わざるを得なくなるだろう。自分が就労したのは、特定子会社で障害者が多い。ハロワでの「トータルサポーター」は丁寧に手伝ってくれ、定着支援も行ってくれる。会社は障害者を雇用した場合には奨励金が出る、規定数を雇わなかったら罰金を払わねばならないとのことである。

・就労移行:「ウェルビー」に通っている。触れ込みでは「企業を紹介する」と言っているが、実際はなかった。企業とパイプがある事業支援書を選ぶべきである。人材派遣会社がやっている事業所もあるが、勤怠などの縛りは厳しい。

・ハロワ:ハロワで紹介されている求人には事務系も多い。データ入力と文書作成がメインになっている。就労移行支援はそのためのトレーニングにもなっていて、カリキュラムはアンケート入力や数値入力がメインである(それ以外はコミュニケーション訓練等)。事務系の求人を狙うという前提で就労移行に通うのならば意味がある。

・就労支援:企業はブランクがある人材を嫌う。就労移行に通うことは、「就労移行に週何時間通った」、という実績を企業に提示するためにも重要。

3.経済的に自立するために、所得をどうしているのか

話題提案者の話(2人):障害者年金の金額が最近変わった。10万や15万もらっていた人は、2級から3級に落ちて収入が少なくなることが多い。また、3級の人が受給できなくなるケースも頻発。アルバイトなどをして少しでも所得があるとそうなりやすい。このような状況の中で所得と病態との兼ね合いをどのようにしているのか。無理しているのかどうなのか、聞きたい。

【意見】

・夫が鬱、自分は躁うつである。どちらも辞めたいねといいながら仕事を続けている。やめたら次の職場がないかもしれないと思っているので、今の職場を辞めずに働き続けることが唯一の方法だと思っている。

・障害者年金のみで生きていけるような金額は出ないのではないか。 カツカツの生活をさせていて、働けばすぐに年金を切られる状態であれば、障害者雇用でも働いたほうがいいのではないか。

・主治医はお金のことはどうにかするので気にするなと言ってくれていて、2級が継続できている。このような生き方なのか(国からもらうのか)、自分で働くのかどちらがよいと思うか?

・自分の生きかたを自分で選択するという意味では働きたい。福祉は緊急事態に対するものだと認識している。自分の運命を自分で決められないのは人間に取ってのストレスになると思う。年金の等級なとは外部が決めることだからストレスになる。

・持続的な就労に結びつけるのは大変。

・今までに調子を崩したときはやめるという選択肢しかなかった。就労移行の継続支援によって、就職後に企業と利用者の間に立ってくれる定着支援に期待を持っている。就職に結びつけることよりも定着支援が大事だと感じる。

・今は働ける状態ではないので、次の就職をどうするか考えられる状況ではない。

4.躁うつを抱えながらどのように、どのようなところで喜びを見出しているのか。病気であっても充実した人生を送れるためには?

話題提案者の話:診断されたときには、「波をコントロールするだけで一生を終えるのではないか」という不安にさらされた。また、若いころから、自分の波をコントロールするのに一生懸命で、やりたいことがたくさんあったがなかなかできないことにフラストレーションがあったので、みなはどうしているのかを聞きたい。

【意見】・そもそも躁うつが繰り返すという考えは間違っていると思っている。躁うつの波は除々に収まり穏やかになって回復に向かっていくものだと思う。主治医と連携を取り、自分で工夫をすることで変化を起こしていくこと自体が喜びになっている。

・自分は診断されてよかったと思っている。今までの自分の性格の謎が解け、人間の叡智で自分の困難を解決する方法があるとわかったことがよかった。鬱からフラットに上がったときの普通の生活が幸せに感じる。少しのころで喜べる。「生きていてよかった」。落差による喜び。

・診断されたときは「やっぱり」という感じで、今の歳でようやく病識を持てた。鬱の時は食事も作れないので、それをできるときうあ、家族と「美味しいね」と言い合えるときが幸せ。がん告知も受けたが、その時に躁転してやる気が起き、その御蔭で楽しく闘病ができた。

・診断されたときは「やっぱり」という感じで納得した。理由が与えられたことに対する安心感があった。糸井さんの言葉「目先の小さな喜びを積み重ね、幸せ敏感体質になる」ということを意識している。日常生活では、美味しいものを食べることに喜びを見出している。

・3回求職していて、死にたいくらい仕事が嫌で解放されたかった。そこから3ヶ月間、布団から出られない日が続いたが2回、3回と続くごとに活動的になれた。鬱のときは無理をしないこと。躁のときにたくさん楽しむ。

・外に出掛けて甘いものを食べたり出かける予定を立てて出かけること。

・あまり楽しいことはないが、躁になったり鬱になったししていると周りの人はいなくなるが、残った人はいい人ばかりで、その人たちを見極められたのはいいことであった。バンドや編み物に取り組んでいる。

・鬱や躁そのものにおいて喜びを見出したことはなく辛いものだと思う。ただし、この病気になってこのような自助会や就労支援で仲間と出会えたこと、相談や共有ができていることは有益だと思う。また、このような病気でないと、芝居を作ることはできなかった。

・鬱のときは親の有り難みが分かる。年老いていてもめんどうを見てくれることを実感する。躁のときは、いろいろやりたくなるがその中から選択して何かをすることが幸せである。

・同病者との関わりが幸せの中心。鬱のときは同病者の夫とふたりきりだが、少しベッドメイキングができたことで喜び合えることは幸せである。最近では誕生日に同病者と楽しめたこと、別れたあとにその人たちが恋しくなって泣き出したことを幸せに感じた。鬱の症状で泣くのとは全く違う充実感のある涙だった。

・病気になってからは鬱が長くて一歩も外に出られなくなった。躁の時はいきなり離婚届を突きつけたが、その後にパートナーと出会えて外に出られるようになったことが幸せ。お茶を飲みに行けて、笑って外の景色を見ることができるようになったこと、TVを見て笑えるようになったことが幸せ。

・些細なことを楽しめるようになった。例えば、キャベツや玉ねぎなどがおいしく感じられるようになってきた自分が嬉しい。自分は躁体質なので病気と診断されて自分のおかしな部分が解明され、自分のイメージの指針となったことは有り難い。

・1人で考えていても折り合いはつけられない。他の人はどうなのかということを見ることが大事なので、このような同病者の集まりは重要だと感じる。苦しみの中でも楽しさを見つけ出していくという能力は人間に備わっている。人間関係的な苦しさは未だにつきまとうが、表面上の取るにたらないことではなく真実を取り出して行くことが大事だと思っている。自分の中にはっきりとした思想があれば何にも対応することができる。・PSWの資格取得のための勉強で鬱になったがやりきったこと。中2の娘は可愛いが、親を相手にしてくれないので寂しい。

・最初は両親の理解がなかったが、最近は理解をしてくれるようになって、それに対して感謝をしている。

5.職場と家族以外で安心できる居場所・社会とつながっている、属していると思える瞬間はあるか。

【意見】

・関東ウェーブの会

・関東ウェーブ・ハロワ・就労移行支援施設

・関東ウェーブ・の会就労移行支援・カラオケサークル

・現在探している。昔は芝居の仲間だった。

・昔の飲み仲間

・仲の良い友達で躁うつと伝えてある人々

・所属している社会団体・自助会

・自分が人に何かを為せた場所

・関東ウェーブの会。これから広げていきたい。

・病気になってぶらぶらしていてからも離れなかった親友・子猫たち

・趣味の場所(陶芸など)・東方神起JYJ・おひとりさま限定の旅行

・趣味の場所・趣味を上達することで教える、教えられる、という連鎖が起こること、その場

・人が喜んでくれる場所、その時。皆が喜んでくれるための物書き、その仲間。

・人や漫画、街。自分の好きなものがある場所。

・関東ウェーブの会・職場の人と山に行くことや走りに行くこと。

・他人という壁が敗れて人と話せたとき。国会前で戦争法案反対で集まった際に、その辺のおばさんと話せたこと、詩吟のクラスでおばあちゃんたちと話せたこと。居場所は関東ウェーブの会。

・職場、家族以外で居場所を作っておかないと逃げ場がなくなる。自分の中では2つ以外に居場所がないので作っていかねば。また、生きていくために必要な「役割」を見つけねばならない。

《最後に》

オフ会は、普段はなかなか会うことのできない同病者と出会える貴重な機会です。

今回のオフ会も、みなさまにとって、有意義な時間になれればな、オフ会というのが何らかの拠り所になれれ

ばな、と思います。

皆さんに会えるのを心から楽しみにしています。よろしくお願いします(*^^*)