《はじめに》
今回の第7回例会は懇談会,懇親会を通して,スタッフを含め全体で 16 名の方々が参加してくださいました。懇談会では、病気を抱えながらの働きづらさや、主治医との相性などををみなさんの体験談を元に、悩みを解消するにはと共に話し合いました。
懇談会の後半では、来年度の会員制に向けての話し合いをより具体的に、スタッフのたたき台を元に(この記録の下に添えてあります)「会則」の作成についてのご意見をいただきました。(来月も運営交流会としてお話しを継続する予定なので、その間もご意見・ご質問がありましたら、是非掲示板やメールフォームでご連絡ください!)参加者みんなの総意で会のことを考え、決めるという会員制・当時者会の精神を、この話し合いの流れそのものから感じられました。
懇親会では、いくつもの小さいグループに分かれて、違うグループに顔を出したりして、色んな
話題が自然と行き交う活気あふれる雰囲気でした。
以下は当日のスケジュールと,懇談会で話し合ったことの要約です。参加された方々には是非例会を振り返っていただき,今後に役立てていただければ幸いです。参加されなかった方々にも,
この記録がウェーブに興味を持っていただくきっかけになればと思います。
《スケジュール》
(1)自己紹介 14:00 より
(2)懇談会第1 部「働きづらさについて(体験談とディスカッション)」
(3)懇談会第2 部「薬の調整においての主治医との相性について」
(4)懇談会第3
部「来年度会員制に向けて―会則について」
懇親会終了 17:00
《懇談会の要約》
1.躁うつ病者の働きづらさ
―働きづらい理由(人間関係においての緊張・不安など)体験談
―働きづらさを解消するには ディスカッション
☆働きづらい理由(病状、労働環境など)☆
・自分の病気を自覚していなかった。潜在的に働きたくなった。人間関係はいばらの道だった。働いた人も迷惑をかけていたと思うので、おたがいが働きつらさを感じて、積み重なっていってしまう。
・外資系で働いていて、外国人で働きやすくて。ハイテンション。日本企業に転職したときのギャッ
プ・派遣のストレス。そこをがんばりすぎてしまった。
・人と人と話すのは好きなのに、疲れやすい病状。好きだった仕事なのにできなくなった。
・仕事の中身と人間関係、パワハラ。対人緊張や予期不安。
→神経症の類かもしれない。森田療法が効く可能性も。
・過度に働いてしまう。元の性格がハイだというのもあって、体が持たなくて、倒れる。→病識をもつ
ことで助かった面がある。光トポグラフィーでやっと納得できた。・なんでこんなに緊張するのか、不安になるのか。朝には緊張して、行きたくなくなる、その戦いが毎日続く。何か対象があって緊張する・不安するのは正常な反応だけど、対象がない場合に緊張・不安するのは病気だと。どう考えても正常だと感じられない。これがなくなればうつでもなんと
か乗り切ることができると思うんだけど。
→ 予期不安とは。何の原因も考えられないのに、体の底から体から湧き出てくる
直接の不安、直接緊張関係があってではなくて、過去の経験からの不安が重なって
のことかと。
・病気のことを面接とかで言えない。クローズド。
そういう隠し隠しやっていると人間関係上手くいかなくなる
過去の話しがあまりできない。
・ハイで自分は何でもできる、才能があると思っていて、下で働くことをバカにしてしまったり、テン
ション上がるとバイトを探して、最初飛ばしすぎてうつになっちゃってもって 3 か月。
☆働きづらさを解消するには☆
・何か組織に帰属している安心感が欲しくて、ボランティアとかピント来なく、就職を目指している。
就労期間満了しちゃって、就労移行支援A型に通っている。
・テンション上がってきたなと感じたら、飛ばしすぎない。周りの期待に応えられなくなってくる。そ
れで自分をダメの人間だと必要以上に思ってきてしまうので。
・結構仕事好きなんですよ、やれるととことんやりたい。二週間まったく眠らずにやるとか。自覚してセーブすればいいかというと、なかなか。診断されても自覚にはなかなかつながらず、止まらない。
・うつで評価される機会がなかった分、躁で実際期待に応えられるようになって、自然な感情としてセーブしろと言っても無理がある。
→周りの評価をそこまで気にしないでいいのではないか
→確かにそう思う。例えば上司からの評価を求めるのではなく、躁であってもうつであっても否定
感を抱かないように自分が自分を客観的に評価できるようになればいいと思った。
・予期不安は、蓄積した不安だとすると、一種のトラウマと言えるし、トラウマと同じような向き合いが
必要なのかもしれない
・ふつうの働き方でも難しい。フリーランス・自営業・自由業があれば、あるいは何等かのスキル・資
格あればうまくやっていけるのかなと。自分でペースをコントロールできる職業。
・すごくがんばりすぎちゃってた。合わせることができるようになってなれて、人間関係が非常によくなった。それでも派遣で終わってしまう。フリーランスもやったけど、合わないからやめまた。予期
不安についても、もっとうまく割り切れるようになりたい。
・気を楽にして、アバウトにしたらどうだろう。疲れたらトイレで休んだり、行けなかったら電話であと
で言い訳しても、短時間ずつ週一日・二日にしてパートをするというのも手もある。
・やろうとしていたダメなんだ→だから私はダメなんだ という思考回路を辞める。・オープンで働くことを考えている。
・就労移行支援にに二年通った末、働き先が決まったのはいいけれど、就労移行支援で週 3 日でさえ働く直前までできなかったのに、いきなり週五日の勤務になって、三か月ぐらいがんばれた。
オープンだから休んでいいというのは、クローズドよりはあるかもしれないけど、自分が不調なときは、そうだとはっきり言える人を求めてる。大丈夫ですと言って、当日欠席をするというのはよく思
われない。
・(障害者枠の)雇い主側として、選ぶのは精神障害者が最後。なんでかというと、持続的に働けない。会社からすると持続性があることが一番大事。「差別」で辞めさせるという以前に、会社に損害
を及ぼす休みは認めてくれない。
2.薬の調整においての主治医との相性について
各グループの参加者に、どう相性が合うか・合わないか聞いた。
☆薬の調整において、主治医との相性がいいグループ☆
・病識を気づかせてくれた。それが薬も含めて、トータルに良くしてくれている。
・ラミクタールを出してくれていることだけで相性が合ってると感じる。人間性も合っている。あと、も
うちょっと強い頓服をリクエストすれば、出してくれる。
・頼りにない・頼りにある先生両方経験していて、町のメンタルクリニックは気を付ける方がいい。
内科医が、二週間の研修とかで、経験も特段なく、クリニックの先生をしている場合がある。ちゃん
と先生の履歴を確認してからかかる方がいい。
・合っていないと言われた方は、思い切って医者を変えたほうがいい。
入院していたとき担当だった若い先生がエビリファイを処方して震顫が出てしまって、面談時間も
守らなかった。70 歳ぐらいのおばあちゃんに変えて、退院できた。
・入眠剤が聞かないので、うつ傾向にあるんですけれど、パニック障害が一番ひどいので、自分の
症状の変化に応じて適格な薬を出してくれる。
・先生が言った通りにしてくれる、提案はあんまりしてくれないけど、今この要領でも、どのステージ
でやっていけるのか、と適格な質問をしていけば、回答に結びつくかもしれない。
・自分の言う通りに薬を出してくれるけど、無責任な意味で自由気ままに出さないし、すごい信頼し
ている。14 年付き合ってくれる。ラミクタールが新薬だった時、すぐに出してくれた。
・基本自分から、薬の知識も含めて病識を持って、先生と対等な関係で薬の相談ができるようにな
るのが理想的だと思う。
☆薬の調整において、主治医との相性がよくないグループ☆
・リーマスばかり処方されていて、副作用が目に出たり、打球したのも副作用によってふらついたことが原因。自分でどんな薬を処方されてきたのか見たときに、抗うつ剤と睡眠薬しか投薬されていないときがあったり、処方の仕方が無責任で、腹が立ってきて。今はリーマスからラミクタールに変えている途中。ラミクタールの副作用も主治医は頼れないので、自分で慎重に見ていきたい。
・薬に関して、最近若い先生に主治医に代わって、こちらに言った通り出してくれる。あんまりポリ
シーがないような感じ。
・ 高齢の先生。自分が何を処方していないのも覚えていない。でも、そういうルースな感じで、病気との関係ない話しもできて、自分には相性があっていると思う。逆に真剣にされたら合わない。
・ラミクタール出してほしいといっても、25mg しか出してくれない、スティーブンスンジョンソン症候
群。三環系抗うつ薬を出してほしいが、躁天するのを恐れている。
3.来年度会員制に向けて―会則について
スタッフからの話題提案:
関東ウエーブは今年度(2016 年度)から会合の定期化、来年度(2017 年度)は会員性を検討しています。
(会員制については、関東ウエーブトップページから見れます「重要なおしらせ」の詳細をご参照下さい。)
12 月には、会員制について具体的に皆さんとお話しできるよう、運営交流会を予定しています。 今回の例会の後半は参加者の皆さんと来年度に向けて会の会則について検討させていただきました。スタッフの方から用意したたたき台を元に感想・ご意見をいただきました。それらを元に、スタッフとしても再検討していきたいと思いますし、今後の会合・会へのご連絡で改めてご意見をい
ただければと思います。たたき台は以下の通りです:
関東ウエーブの会 会則 (草案)
(名称)
正式名称
通称 関東ウエーブの会
事務所
第 2 条 この会の所在地は、におく。
なお、所在地は手続き上必要な場合を除き、公表しない。
(目的)
第 3 条 この会は、躁うつ病(双極性障害)者が置かれた社会的条件に鑑み、会員一人一人の人間的な幸福を最大限追求するとともに、躁うつ病者全体に通じる普遍的な人間的幸福を追求する。この会の特徴として、この二つの目的の調和を前
提とする。
(事業)
第 4 条 この会は、第 3 条の目的を達成するために、次の事業を行
う。
(1)概ね月一回の例会
(2)会の公式サイトの運営と、サイトを通じた会員及びその他の躁うつ病者の交流。
(3)総会で決定した行事等
(4) その他この会の目的の達成に必要な事業
(構成員)
第 5 条 この会の構成員は、会員とする。
2 会員は、躁うつ病及びその周辺とする。周辺とは躁うつ病と同じようなリスクがある病気(統合失調気分(感情)障害(DSM-IV 分類),非定型精神病(ICDー10 分類)、その他医師の誤診などで明らかに躁転を経験したことがあるのに他の病名の診断を受ける場合、それに加えて家族と交際相手を含む。
但し、当会の目的、特に当会が公的機関から自立した存在であるという当事者会としての原則を歪める目的で入会しようとするものを除くとする。
3 その会費及び資格は総会が定める。
4 会則の中にそれ以外の会員は総会が定める。
5(設立総会を除く)総会の一か月以上前に会員になったものに議決
権を有することにする。
(機関・議決)
第 6 条 この会の議決を行う機関として、総会及びスタッフ会を置く。
2 総会は会員で構成し、会員総数の 1/2 以上の出席をもって成立し、多数決をもって議事を決する。
3 総会はスタッフ会議が召集するものとし、毎年 2 回以上開催し、次の事項を議決する。
(1) 年度事業計画及び予算
(2) 年度事業報告及び決算の承認
(3) スタッフの選任
(4) 本会の解散、合併に関する事項
(5) 会員の除名に関する事項
(6) その他、本会の運営に関する重要事項
4 スタッフ会はスタッフ会が召集し、総会に付託すべき事項及び総会の議決の執行に関する
事項及び
この会の日常の運営に関する事項を議決し執行する。議長は総会冒頭で決める。
5 スタッフ会はスタッフの 1/2 以上の出席をもって成立し、多数決をもって議事を決する。
6 総会において 2/3 の決議で緊急動議を認める
(スタッフ)
第 7 条 この会に次のスタッフをおく。
幹事(1 名) 幹事は本会を全スタッフとともに総括する。
副幹事(若干名) 副幹事は幹事を補佐する。
会計(1 名)
会計監査(1 名以上) 監事はスタッフの職務執行を監査する。
管理人(1 名)副管理人(若干名)
2 スタッフは総会で選任する。任期は 1 年とし、再任を妨げない。権限、責務等は、総会が定める。
3 スタッフ会は二種類あり、参加できるスタッフをもって構成する。三役会議(幹事、副幹事、管理人は必ず参加)と基本会議を各会議月一回行い、いずれもどのスタッフも参加できる。
4 会計監査はスタッフ会、総会に出席し発言することができる。スタッ
フ及びスタッフ会が機能しない時は、総会を招集できる。
(事業年度)第 8 条 この会の事業年度は、毎年 4 月 1 日から翌年の 3 月 31
日とする。
(財産の管理)
第 9 条 この会の会計処理および管理方法はスタッフ会が定める。
(会則の改正) 第 10 条 会則の改正は総会において正会員の 2/3 以上の賛成をも
って決する。
(細則)
第 11 条 この会則に定めのない事項及びこの会則の実施に必要な細則は、スタッフ会
が定める。
(雑則)
第 12 条 この会則は、2017年 4 月 1 日から施行する。
※ディスカッションの焦点になった箇所をボールドにしました
ご意見・感想:
・5条 2 項 但し、当会の目的、特に当会が公的機関から自立した存在であるという当事者会とし
ての原則を歪める目的で入会しようとするものを除くとする。について
・スタッフから:医者でも製薬会社の社員でも公務員でも同病者や「躁うつ周辺」である限りかまわないのだけれど、当事者会を当事者自身が運営するという当事者会の基本原則をゆがめようとし
ない限りにおいて、という意味合いの条項です。
・原則を設けか、目的の中に入れるか公的機関という表現だと読み手がびっくりするかもしれない。
・「除く」対象を、リスクを踏まえた上で考えていかないといけない。
高い志をもっていればもっているほど、大変な面がある
犯罪歴があるものでも、同病であれば入れるのか?など極論まで考えるべきかもしれない。
・「除く」対象をもっと具体的に検証すべき。
・会員制の場合、会員の中(内部)で問題を起こした人を除名するためにある条項だが、ここでは元からこういう人は入っていけないと表現してある。水際作戦で除外するのはどうなのか。違和感はある。
→入会目的がそういう(当事者会の自立性をゆがめる)目的だったと入会した後判明した場合に使うという意味だったが、表現が分かりにくかったかもしれない。
〜〜入会を認めないという表現を変える。要検討。
スタッフから:具体的なこと考えれば、きりがないし、私たちのように社会から疎外されて、症状も常識的な「許容範囲」の範疇にいるかあやふやな存在だと、自分すら外れちゃう条項になってしまう。
条件を増やせば増やすほど、それを立てにして、気に食わない同病者を排除するのがそれほど容易くなる。排除するときに立てにすることはできる。そうじゃなくて問題が起こったときにみんなで
対処できるものを文化的に関係を作る。
・目的(第3条)は素晴らしいと思う。当事者として具体的に幸福を探っていくとはどういうことか、そういうことを話せる場であってほしい。お薬や治療以上にライフスタイルとか、将来のこととか、具体
的な何かできることがないのか。
・目的の表現で「人間的な幸福を追求する」が重なると・・・もう少しスマートにできないだろうか。
・第一印象として、長い。 総会が 2 回(6 条3項)とあるが、ふつう一年に一回。半年だけの事業・
予算立てるは大変。財産の管理、会費以外には何があるか。
スタッフから:みなさんの意見をちゃんと汲み取るには年に二回は必要だと考えていたけど、確かに大変なことだし、一般常識に年に一回。
スタッフと会員が双方向性で結ばれている場があればいいわけで、それは総会でなくても、掲示板・SNS・オブザーバー参加 etc.総会以外の手段があるかもしれない。臨時総会を開けるようにし
ておけばいい。要検討。
・スタッフ会議のオブザーバー参加は会員制になっても自由?
→YES
・会費をとるとなると、お金がかかると、思いがいろいろあると思う、実際はスタッフの持ち出しの方
が多い。でもお金の明領化は心がけてほしい。
・開かれた会・排除のない会を心がけて、会則をシンプルにするのはいいが、その分トラブルの対策の負担がスタッフにかかるから、気を付けてほしい。
→トラブルを起こしてもそれを共に乗り越えて行くのも当事者会の存在する意義であり、目的《おわりに》
今回は、例会という形態をとってから7回目の会でした。ここ数回、続けて参加してくださっている方がだんだんと増えてきていて、ディスカッションも活発になっているように感じます。また、来年度からの会員制についての話し合いに関しても、皆さんの疑問や意見をお聴きすることができ、着実に話し合いが進んでいることが実感できました。同病者は、初対面でも会った瞬間強い共鳴力があって、そんな一つ一つの例会の感動も噛みしめつつ、会としての一体感もとても自然な形で来年に向けて築き上げられているようで、うれしく思います。とくに、次回は会員制に向けての大きな節目となる運営交流会となりますので、是非それまででもご意見・ご感想をドシドシいただければと思います。
参加してくださった皆様,本当にありがとうございました。
≪次回定例会のお知らせ≫
12 月は第4回運営交流会を 12 月 3 日(土)に予定しています。3 月の会員制の会の設立に向けて、どういう内容の会にするか最終的に決めることになると思います。
※会員制についてはトップページの「関東ウエーブの会からの重要なお知らせ」をご参照ください
次々回は 1 月 7 日(土)に第8回例会を予定しています。
詳しくは後日「躁うつ掲示板」に UP 致します。ご参加お待ちしております。お手数ですが, 参加
の際には参加表明をしていただけると非常に助かります。