2016 年度第 8 回関東ウエーブの会例会報告
《はじめに》
今回の第 8 回例会は懇談会,懇親会を通して,スタッフを含め全体で 21 名の方々が参加してくださいました。今回の 14 時からの自己紹介は、テンプレートを元に順番に、というのではなく、よりフリートークに近い自己紹介を試みました。参加者の方から自然と切り出されたその日の体調のことなどをきっかけに、よりナチュラルな会の始め方ができたと思います。
15 時から一時間の懇談会では、今まであまり取り上げられたことのない「易怒性の躁」について共有し合いました。この病気の逸脱行為は、なかなか他の場所では共有できないものなので、今後も皆さんの体験を気軽に、そして真剣に向き合う形で話し合える場としたいと改めて感じました。
16 時からは、前々回、前回に引き続き会員制に向けて会則の練り上げを参加者と共に行いました。
(来月もお話しを継続する予定なので、その間もご意見・ご質問がありましたら、是非掲示板やメールフォームでご連絡ください!)参加者みんなの総意で会のことを考え、決めるという会員制・当時者会の精神を、逆に会員制にするべきなのかという視点も含め、この話し合いの流れそのものから感じられました。
懇親会では、いくつもの小さいグループに分かれて、違うグループに顔を出したりして、色んな話題が自然と行き交う活気あふれる雰囲気でした。
そして、今回の例会をもって、会員募集を開始しました。会費は年間会費 1200 円(例会参加費無
料)、非会員の参加費 300 円になります。
以下は当日のスケジュールと,懇談会で話し合ったことの要約です。参加された方々には是非例会を振り返っていただき,今後に役立てていただければ幸いです。参加されなかった方々にも,この記録がウェーブに興味を持っていただくきっかけになればと思います。
《スケジュール》
(1)フリートーク自己紹介 14:00 より
(2)懇談会「易怒性、あるいは度を越した躁転エピソード」 15 時より 1 時間
(3)会員募集開始のおしらせ スタッフより 16 時より 15 分ほど
(4)「来年度会員制に向けて」 17 時まで
懇親会終了 17:00
(5)懇親会 18:00〜20:30
《以下は懇談会と、「来年度会員制に向けて」の要約になります》
易怒性、あるいは度を越した躁転エピソード
躁状態になると、易怒性の症状になりやすい方がいるか、お聞きした:かなりの挙手
・歩いているときに、歩行者がぶつかってきたのに謝りさえしなかったので、相手の胸倉をつかんで交番まで連れて行った。そのため一年前には保護入院ということで保護室に入れられた。やることもなく、ひたすら筋トレをしていたが、看護師に見つかるとやめなさいと注意される。怒りの症状をそうやって自分なりに発散していたのかもしれない。
・トラックの出入りが多い、うるさい環境にあって、土建屋さんの事務所に行って、怒った。パキシルの薬物躁転があってのことだと思う。
・自動車で接触事故を起こした際、相手をぼこぼこにした。
リーマスをきちんと飲むようになるなってから落ち着くようになった三環系抗うつ薬(アナフラニール)があっての、躁転だと思う。
・うつ病になっていて、パキシルを服用したら無性に人を殴りたくなった。
それは躁うつ病だよ、と言われて腑に落ちた。
・躁うつ病者は、統計的に犯罪歴が少ない。躁うつ病はどちらかというと自虐行為や自殺未遂など、内にネガティブな衝動が出る方。
・衝動性や躁転というが、躁うつ病はある一定の理性は見失うことがなく、外への易怒性もある一定のラインを超えないのかもしれない。
・相模原障害者施設殺傷事件をどう捉えるか。加害者は医療保護入院をされ、それを機に精神障害者の強制入院についての制度も緩んできている傾向にある。
しかし、あの加害者は躁転などの衝動性をもって、という以上にヒトラー的なイデオロギーを持って意識的に行ったものが大きいと考えられる。
(昨年の関東ウエーブ会第4回例会でもディスカッションがなされた。)
・躁うつ病は病識を持たざるをない、コントロールをしないといけない。そうやって治療面からしても、元のまじめな性格からしても、つらさや怒りやうっぷんを内に抑え込んであるから、反動として出てしまう面があるのかもしれない。病気のコントロールと言っても、躁を安易に抑えるというものとしてではなく、なぜそのような躁転が起こるのか、全体像をもって病識を持つ必要がある。
・(今回は自己紹介において新しい試みとして、基本的な自己紹介の概要‐1 型寄りか 2 型よりか、病歴は何年、体調は躁寄りうつ寄りなど、挙手をしてもらい会場のホワイトボードに書く形をとりました。以下それを見ての参加者の意見です)今まで 1 型の人がこの会には多い印象だったけれど、ホワイトボードを見る限り今回の参加者の中では一人だけ。易怒性は 1 型の方に目立つという印象があったけれども、そうでもないのだろうか?
・今までの参加者のエピソードを聞いている限り、もともとの気質もあるが、薬物躁転など薬との兼ね合いでの躁転の在り方があると思うので、一概に 1 型だけに目立つというわけでもないのかもしれない。
・エビデンスがあるわけではないが、「リーマスは楽しそうに効く」、「デパケンは怒りそうに効く」って言い伝えがあるんですか、デパケンを服用して、それによって怒りを抑えられる方はいらっしゃるか?
→デパケンを服用されている参加者がほとんどいなかった・この病気は人間関係においてのストレスが衝動や病状悪化につながる面が多いと思う。
想像の中では、危害を加えてやろうと思ったりするが、デパケンやエビリファイの力を借りて、スッと他害の気持ちがなくなった。「メタ認知」が戻ってきた。
・エビリファイはアメリカでは自閉症の癇癪に使われる。何事も薬において緩和される、というわけではないけど、そういう症状が出てる時は薬を多めに、種類を変えてもらったり、調整を意識するのが大事。
・リスパダールの液、即効性という点では衝動性・いきなりの不安には効く。
・他害の話しが出ましたが、自分の場合は、できるだけ外に向かわないように、という無意識なものも含めて、自分に対してそのダメージを向ける面があると思う。ひたすら筋トレをやったり。
・外ではなく、内に衝動性を発散させる方法として、ゴキブリスプレーを顔にかけたことがある。
・対人関係の中でたまっていたストレスは、その環境の中で解消することができないので、部屋の中で暴れていた。引っ越す時に、部屋が穴だらけだったので、大家さんに「どうすれば、こんなことになるの?」といつもの自分とのギャップもあってか、びっくりされた。
・躁うつ病そのものの(自殺)衝動性や、二次的なストレスの発散は様々だが、自分は例えばフルのフェースヘルメットをかぶって、バイクをすっ飛ばして、ギャーっと叫び続ける。叫べるとこがないので。
あとは、自分でも意識してやっていたわけではないが、絶対電車が来るような線路を歩き続けたりした。
・外に向かうストレス・怒りをそういう形を、より健康的に・安全に解消する方法を模索していきたい。
・サーフィンをはじめた。
・このお話しをしている中で、ある意味このような異常なエピソードを経験したことがない方(同病者も含む)はどう思うか、何気に気になった。
・躁で入院したことがある方はいるか? 5 名ほどいた。
・1 型と 2 型について。ベトナム戦争において PTSD を爆発的に軍人の中で発症して、誰でも診断できるように作られたのが DSM。 それまでの日本やドイツでは、かなり長いスパンの躁とうつ、今で言ういわゆる1型が診断の対象であった。
DSM の判断基準は、社会的に迷惑かということなので、医学的な見解ではない。公共凌辱を守るというそういう視点を介入させて判断基準を作った。
・人それぞれ大なり小なり苦しんでいるとこはあるんだな。頭では理解しようとしようとしてきたが、意外と薬のことを知らない自分がいる。こういう病気を抱えながらも、前向きに皆さんと生きようと感じられたのが来れてよかった。
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来年度会員制に向けて
予定では会則細則草案の練り上げでしたが、会員制移行に反対の立場を表明された参加者からお話が有りましたので、予定を変えその議題を皆さんで話し合いました。
会員制移行に反対の意見
◯会員制に移行する前提で話し合われている気がする。
何を言っても会員制になるとしか思えない。
◯会員制の他の会を見るとスタッフ同士の諍いがあり、会員制自体が排除につながっている。
スタッフ同士の諍いに一般の会員は付いて行けずに、会自体に疑問を感じる事がある。
また、会則に縛り付けられ自由な空気が失われている。
そのようなことからウェーブの会も会員制にすると、会員同士の諍いが生じたり自由な空気が失
われる恐れがある。
今までは会費をとっても当日のオフ会を運営したことで運営スタッフは責任が果たせるが、会員制にすると一年を通した運営責任や説明責任が生じる。
このことが運営スタッフの負担となり「運営するための運営」になってしまうのではないか?
現に、この一年間のオフ会はかなりの時間を会員制の話に費やされており、躁鬱病について
話し合いたい参加者の気持ちが見過ごされている。
◯会員制が一年過ぎて上手くいっていない場合は、現状のオフ会形式に戻すことはあるのか?
◯会に気楽に参加したい人もいる。
また、初参加の方は会の運営などには興味がなく病気の情報を求めてやってくる。
会員制にすることで、そのような人を会の運営に強制的に参加させることにもなるのではないか?
また、会の運営に参加しない人は会に参加できない雰囲気になってしまうことにつながる。 他の意見
◯運営の話は全体の三割以上になってはいけない
◯初めて参加された方の意見を引き出す工夫が必要
◯来れない人同士のつながりもある。
◯メールがウェーブの会から定期的に送られてくるのも安心する。
会員制に対してのスタッフによる説明
◯孤立しやすい躁うつ病者に対し当事者会は継続が必要であり、現在ウェーブの会はスタッフの力だけでは運営がまかなえなくなっている。
そのために会員自体が会を考えることの出来る会員制にする必要がある。
◯限られた人だけで会を運営していけば考え方に間違いが生じる恐れがある。
そのために同病者全員が会の運営にたずさわり決めることの出来る会員制にすることにも必要
がある。
◯会員制にすれば躁うつ病というくくりだけではなく、様々な人の個性を参考にすることができる。 ◯会員制に伴う運営スタッフの責任や負担の増加によるプレッシャーは、経験と話し合いで乗り越えられる。
また、その努力から生じた考え方が会の財産になる。
◯今までの自由な空気を無くさずに会員制にするには、自由な意見の交換が必要。
その雰囲気作りも考えていく。
◯去年の統計をとると初めて参加された方の半数が一回のみの参加となっている。
会員制として会を運営するには財政的にもリピーターを増やさなければならない。
そのために初参加の方の満足度を上げる必要がある。
◯この一年、参加者に運営の話で負担をかけていることは申し訳無い。
今は生みの苦しみなので来年は落ち着くと思うし、そうしていく。
◯一年間を通し会員制をした中で、会員からオフ会形式に戻すと言う提案があり議決されればスタッフはそれに従う。
一年スタッフがやった結果を会員が審査するということ、それが会員制になるということである。
◯反対意見を出してくれたことは、とてもありがたい。
今回、反対意見が出たことで会員制の問題点が浮かび上がった。
反対の意見は言いづらいだろうが、様々な意見を話し合いで解決するということが会員制のメリットである。
賛成、反対問わずこれからも意見を出してほしい。
・このような討論・ご意見も含め、スタッフのおしりに火をついたことで、色んな意見が出て来る希望も持っている。
同病者なので、ストレスもたまったり、スタッフががんばるしかない、間違ってるとこを気軽に意見していただいて、修正し合うよう、そうやって総意で会を進められる形を築いていきたい。
会員制という形態をとりつつあるのも、なかなか持続しにくい躁うつの会の存続として、この一点においても、みなさんのお力を借りて良い結果をもたらしていきたいと思います。
以上。
《おわりに》
今回は、スタッフを含め全体で 21 名の方々が参加してくださいました。
今回は、色んな点から、真に迫ったお話しができたと感じ、皆さんと共に会としての成長があってからこそだと感じました。
例えば、易怒性の症状は、社会的基準からすれば犯罪行為と思われてもおかしくないところ、服用との兼ね合いがあったり、ストレスの発散・薬の調整を上手く取り入れて当事者がしっかり踏まえていること、
会員制においては、すべての躁うつ病者が気軽にフランクに話せる場を皆さんと今一度真剣に
話せた会だと感じました。
参加してくださった皆様,本当にありがとうございました。これからも関東ウェーブの会をよろしく
お願い致します。 次の例会、その次の設立総会(予定)もありますし、その間に意見を集中していただければと思います!会員制・会のあり方について何かご意見、ご感想ありましたら、お気軽にご連絡ください!そして3月に向けて、会員をドシドシ募集しております^^!ご興味のある方は是非例会で声をかけるなり、メールをいただければと思います。
≪次回定例会のお知らせ≫
次回(第 9 回)は 2016 年 2 月 4 日(土)に例会,次々回(設立総会(予定)は 3 月 19 日(日)を予定しています。詳しくは後日「躁うつ掲示板」に UP 致します。ご参加お待ちしております。お手数ですが, 参加の際には参加表明をしていただけると非常に助かります。