2017 年度第 10 回例会(2 3 日) 報告

 

今回はスタッフも含めて 21 名の方々が参加されました。皆さんどうもありがとうございました。

  

 初めは、皆さんに自己紹介をしていただきました。その次に行われた懇談会を要約します。全部で5つの話題を話し合いましたが、最後の話題では 6 月の総会(詳細は報告の末

尾)に向けたお話しもできて、活気あふれるお話しができたと思います。

 

 話の流れとしては以下の通りです。

1.仕事について

2.現在仕事をされていない方は、一日どのように過ごされているか

3.交友関係 どうされているか

4.一人でどう病識をもてるか

5.会の正式名称について

  

1.仕事について

過去の仕事をどういうきっかけでやめたか。また、その時にどういう症状(躁転して、うつ転して、等)でやめたのか

 

・やめた当時は、抱えきれないほどのストレスがあったというわけでもないが、徐々に徐々に調子が悪くなって、ある日を境に会社に行けなくなった。

 

・営業の仕事をしていて、ずっと躁状態でやっていた。すごく上手く頭が働いていて行えていたことが、頭がぼーっと回らなくなって、フルコミッションだったので、売り上げが上がらなくなってしまった。当時は自分では何の病気だとかは分からなかった。職場から、ちょっとずつフェイドアウトしてしまった。

 

・祝日以外は朝から晩まで丸 3 年仕事し続けて、ある日動けなくなった。

 

・何年も働いていた職場だったが、ある日同僚から罵倒罵声を浴びせられたことをきっかけに行けなくなった。何でこんなことを言われないといけないんだろう。プライドが元々高かったのもあって、へこみ方もその反動としてひどかった。

次の日から電車に乗れなくなってしまって、スーツ姿のビジネスマンを見ると気持ち悪くなって、逆行してしまった。

 

・きっかけは、躁うつ病ではなく、パニック障害だったが、それに至るまでの期間は躁状

態だったのではないかと今振り返れば思う。先輩ともめて、派閥が起こった。

 

・週7日間、大学と両立して働いていた。職場で他の人が休むことになって 48 時間連続で働くことになって、多分その時点から躁転してた。倒れて救急車で運ばれて、うつになった。仕事をまったくできなくなった。

 

・パワハラをうけたのがきっかけで身体に症状が出てしまい受診をしたが、根は身体的な問題なのかうつなのか、検査しないと分からない、と言われた、無責任な対応だと思って通院を辞めてしまった。また同じ症状が出て来て、別の病院を受診したら、うつだと診断されて、治していきましょうと担当の先生が言ってくれて、その人についていこうと思った。

弁護士と話したところ、きっかけのパワハラを証明するのは難しいとのこと。

 

・躁とうつの波を繰り返しながら知らず知らずに人間関係が壊れていった。休職期間が切れかけてても家族のためにと思って這ってでも行った。人事に安全管理上の問題でやめなさい、と言われて、辞めざるをない状況になった。

 

・話題提案者:皆さんのきっかけ当時の事情を聞けて非常に参考になった。でも、その時の感情の移ろいは見ることができないので、それは想像力を働かせて参考にさせていただきたい。

 

 

2.現在仕事をされていない方は、一日どのように過ごされているか

 

話題提案者:社会参加に向けたリハビリ、というよりは、休養中、闘病されている中でどういう風に過ごされているか、という意味合い。

 

・調子が良い時に自分を掘り下げる作業をしていた。自分の源泉を捕まえるんだ、と。きっかけは会社でのことだったけど、もっと掘り下げて、なぜこの病気になったんだろうと 3 年間、小説を書きながら考えてきた。ちょっとずつ過去に遡っていくと、親の愛情がほしくて、自分は空っぽだと感じていたこと。愛情の器があるのだから、それを埋めないといけない。自己承認をしていかないといけないので、小説を書いて自分の分身を作っていく。

 

・夜型になって反省している。ちょっとハイになっているのかな。(仕事を辞めることができて)解放されたという気持ち。

 

・午前中は家事、午後はウォーキング、読み聞かせをしている。

 

・言うほどのことはしていない。何かしないといけないという決まりがない。仕事をしてたときはがんばっていたが、休養を取ること自体はけっして悪いことではない。ゆっくり休んで、やばいななんかしなきゃなと思わないようにする。

 

焦ってはいない?

 

焦って躁転してドーンとなるのを過去にやっているので。受動的なこと(テレビやネットサーフィン、ゲーム)をしてやり過ごしている。

 

・「何もしないをする」何かしたくなっても「しない」をしている。でも人間は考えることを止めることはできない。考え出して、ふっと答えとかヒントが浮かぶことがある。何もしない状態がやばいなという感覚はゼロじゃないけれど、何年も働いてきたんだからもういいと、自分に許しを出している。

 

・普段は一人カラオケをしている。しんどい時は(カラオケ室の中で)ぼーっとしている。うつの時はできる限りのことをする。音楽が好きなので、カラオケに行くことは億劫じゃない。うつの時はとりあえず出掛けることが大事だと思う。

 

・自分の好きなことだと、出歩けることができる。土日は出掛けるけど、疲れる。平日はほとんどひきこもっている。家事をして一日を終わる。出掛けられる時は一週間分の食料を買いに行ったり。

 

・何かやらないといけないという焦燥感はとくにない。やらないといけないと思っていることはあるけど、やる気がないし、ゆっくりしかできないので、それ以上のことをやる時間がない。

 

 

・体力的なこととしては、市区町村がやっている(など公共の)スポーツセンターは、障害者手帳を持っていると無料の所がある。

 

 

・皆さんのお話しを聞いて安心した。ずっと寝て過ごしているという方が多いのかなと思って。自分も一人カラオケとかに行く。

 

3.交友関係 どうされているか

・話題提案者:社内の人間関係は上手くいかない。会社では一言も発さない日がある。プライベートでもそういう仲間が身近にいない。いるとしたら昔の知り合いだけど、電話での交流のみ。会うとしたら 10 年に一回。人と関わって、さらに自分の症状を話す機会を持てない。

 

社内において交友関係をもういっぺん作るということを念頭に入れられているのか

 

プライベートだけ。

 

・シーカヤックが好きで、クラブハウスみたいになっている。自分の好きなことは何なのかということを見つめ直すこと。市町村で何かの集いとかを募集しているので、ああいうのに顔を出すのは一つの方法。好きなことをしているとストレスの発散になるし共通の話

題にもなる。その場の人々とは、ステータスはどうかとか気にしなくていい。

 

・ここに来る直前躁転して友人関係をなくしてしまった。関東ウエーブのような当事者会も一つの手なんじゃないか。

 

・私は飲むのが好きなので、カウンターがあって、常連さんがわいわいいるとこを探して、週一ぐらいで通っている。近所なので電車に乗らなくていいから気が楽。約束をしなくていい。お店の雰囲気として話好きが多い。

 次の話題ともからむけど、病識を持つのにも週一通っているわけだからマスターに何か変わったことがあれば、と頼んでもらっている。

 

・婚活パーティに行っている。20 20 ぐらいで一人 2 分間ずつ。3000 円〜5000 円。カップルにならなくてもその後ラーメン食べようかとかお酒飲もうかとかお友達になるきっかけになる。そこで何人かとお友達になった。

 

・この病気になると劣等感などを抱いて、普通の人にはしゃべれないことが増えてきている。そういうことが原因でしゃべれないのだとしたら、当事者会で人間関係を作る。話題提案者はどういうきっかけで人間関係を作れなくなったのか?

 

病気でうつや躁がやたら強い。営業関係で数字をあげたいがために夜中まで一人でやったりとかで躁の状態が続いて、やりすぎてガクんと落ちた。躁の時は攻撃的になってそれを続けていくと人間関係が悪くなってしまう。どういう風にしゃべれば人間関係が壊れないのか。

 

・カルチャーセンター・フェイスブックのグループで本の感想文を投稿して、知り合いを作った。ネットだと好きな時間にできる。

 

4.一人でどう病識をもてるか

・躁の一歩手前で気づけるサインや、うつの時に認知が歪まないようにするコツなど

 

・睡眠時間が確保できるようにする。7 時間。寝る時間帯を気にする人もいるけど、何時間寝たかに焦点を当てる。

 

・首が痛くなる。リンパの大きさが変わる。

 

計測装置がついているみたい笑

 

・躁の時は病識が持てず、さっぱり分からなくなる。多分文章をたくさん書いている時が躁。うつの時は、消えてなくなりたいと思う時。どっちか極端にブレていない限りは分からない。

 

・躁転するのは、早朝覚醒する時。その場合は頓服を飲んで眠らなくても横になる。必然的に活動時間が減る。お金を使いたい欲求も自然と湧かなくなる。

 

・(ご家族の方に)躁の方やうつの方に行っていることは気づいているか?

 

ストレスの回避する方法について、自分なりに試してみているよう。

 

・躁になる前兆として、顔が変わる。目がつりあがってくる。自分の顔を鏡で見ることによってモニタリングすることになる。表情がけわしいようだったら、周りとは穏やかに、ゆっくりと対応するようにしている。

 

・一日で体調を10〜+10と測ってつけている。体重、睡眠時間とかも記録している。

 

・躁になる時は血圧が上がる。朝に血圧を測って意識しようとしている。うつになると肩こりが出たり、腰が痛くなったり、身体に症状が出る。

 

・記録は+2〜−2とつけている。躁はほとんど出ないので、うつに落ちるのを気を付けている。

・睡眠をちょっと気にしている。寝て 1 時間で目覚めた時があった。いつもと違うと思ったら、躁気味だった。

 

・教科書的に言うと躁とうつの間に安定期があるというけど、私はそうと思わない。やはり睡眠時間。どこかで波のトップになるが、そこから落ちていくのが分かる。うつの時はずっと寝ている。

 

・躁の状態は分からない。うつだと何の前触れもなく、会社に行けなくなる。

 

・躁になると止まらない。躁になる直前は分かりづらいので、近くの人に「躁っぽくない?」と聞いてしまう。逆にそう言うことによって安心する。

 

・自己管理としては、毎日日記、家計簿をつけている。それによって、お金の使いすぎを

意識するなど。+5〜−5とつけている。それでもやっぱり(躁には)なる時はなる。

 

・睡眠時間がトリガーになる。そこの変化だけは睡眠覚醒リズム表でつけている。+10

〜+10というのもつけている。

 

5.会の正式名称について

 

スタッフ:  

 

 6 月に通常総会を予定している。それに向けて、この一年間の経験から、会則・細則について変更が必要かどうか検討していきたい。まず会則冒頭の会の正式名称について、病名

を今までの躁うつ病とするのか、双極性障害に変更するのか、話し合って検討したい。

 

関東ウエーブは 2005 年から去年会員制になるまでずっと「関東ウエーブの会」でやってきた。正式な会員制の会になるにあたって正式名称を 2016 年度の 1 年をかけて皆さんと考え

て、2017 年の設立総会において「関東躁うつ病当事者会」という名称を提案した。

 

 設立総会の場で、参加者の 1 人から「躁うつ病という病名はいわばきちがいである。そのスティグマを若い軽症の方に着せることになる」「病名を双極性障害と変えるべき」という緊急動議が出されようとした。そこで議長から、名称は原案通りとしてまず会を設立させ、2017 年度 1 年を通して名称については皆さんと考えるようにしようということでその場はまとまった。この例会では名称をこれまでの「関東躁うつ病当事者会」と、「関東双極性障害当事者会」のどちらがふさわしいか話し合う時間を設けたい。前提として、会則・細則は、会社や団体で考えると、まず規則があって全体を制約するというイメージがあるが、関東ウエーブは逆に皆さんと会則・細則を練り上げる中で、会の方向性や精神を作っていくという考えでやってきた。

  

もし自分が病気のことを説明する場合にどっちの方がいい?

 

挙手をお願いしたら、ほとんどの人は「躁うつ病」だった。

 

参加者より:

 

・誰に向けてなのか?外に向けて?

 

スタッフ:正式な会として、外に向けて。内部では愛称の「関東ウエーブの会」で OK

 

・躁うつをスティグマと思うかどうかは人による。スティグマだと思っている人は多数決でとったら多分スティグマと思わない人が多い。

両方を名称に入れるのはどうか?

 

スタッフ:両方を入れるというのは難しい。

 

スタッフ:設立総会でスタッフから話したのは、他のマイノリティ、例えば黒人は「ブラック」など、当事者自身はそれらのレッテルを使って向き合っているのに、政治的に正しい表現を考える風潮として障害の害をひらがなにしたり、双極性障害にしたりとなっているが、躁うつ病という歴史と烙印と当事者が向き合わないで誰がするのか、という見方もしている。

 

・新しい躁うつ病の表現は出ているけど、それらは無視するのか?

 

スタッフ:関東ウェーブの会では、歴史的に躁うつ病としてきた。それは一つにはこの会が「躁うつ病とこころの部屋」という、躁うつ病にとって初めてできた同病者が集まるサイトのオフ会から出発したことにある。双極性障害という病名は関東ウェーブの会が始まった頃にはほとんど使われていなくて、それが一般的に使われ始めたのはその後しばらく経ってからである。  アメリカの精神医学会から始まった双極性感情(気分)障害という名称が日本でも使われ始め次第に一般的となってきた。しかし、カルテなどに記載する正式な名称はWHOの診断基準 ICD10 にしたがって躁うつ病のままであり、公式の文書や論文などでも双極性障害の後に必ず括弧に入れて躁うつ病と記すのが現実。

 

 躁うつ病という病名に比べて双極性障害という病名が、現在に至っても病態を表す上で分かりづらいと言うことからそのようになっていると考えられ、名称を変えることで差別やスティグマの問題が解消されるかの様に扱われているのはおかしいし、何度も変わっていく名称に追随する必要はないと考えてきた。

  

・双極性だと経験的に伝わらない。

 

スタッフ:躁うつ病は波の起伏というイメージが伝わりやすいと考えたが

双極はスペクトラムというイメージの中で 1 型2型を考えやすいのかもしれない、と設立総会では意見が出された。

 

・病気と全然関わりない人でも「躁状態だよ」というと説明しやすい。

 

・自分たちのためじゃなくて、外部に接するための名称だと思う。そうであれば双極性障害。内側で使う名前であれば躁うつ病でもいい。個人的に近しい人に話す時は双極性障害とあえて言う。双極性障害は何だろう?と調べてくれる。躁うつ病や分裂病だと、全部いっしょくたにされてしまう。

 

・外から見てどうか。検索した時に、躁うつ病って入れて、それでここに来れた。簡単に検索引っかかって、簡単に行けることが好ましい。どうすれば多くの困る人が来れるかなと思った。どっちでも引っかかる?

 

スタッフ:どっちでも引っかかる。

 

・以前だと躁うつ病の方が主流だった思う。現在は躁うつ病も双極性障害も使う医者もいる。今も躁うつ病だったら分かりやすい。今後は双極性障害になって行くのかな。その時々に変えるというのはダメなのかな。

 

・躁うつ病の病。双極性障害の障害。病は治る、障害はハンディキャップというイメージ。

そこをどう考える。障害=ハンディキャップを持っているという風に思われる方がいい懇談会の報告は以上です。懇談会終了後の経過としては、懇親会で夕食を食べて、歓談しました。その後、有志で二次会を行い、居酒屋へ行きました。

 

 みなさんお疲れ様でした。また会いましょうね!

 

**会よりおしらせ**

 

6 月に 2018 年度総会を行う予定です。それまでの例会の一つの話題は総会に向けて皆さんとディスカッションを行う時間を設けたいと考えています。躁うつ病当事者が軸になって会の方向性を決めていくために当事者会にしたので、できるだけ色んな声をその中に取り入れていきたいです。よろしくお願い致します!