【2017年第6回関東ウェーブの回例会記録】
第6回例会の懇談会・懇親会では,スタッフを含め25名の方々にご参加いただきました。14 時からの自己紹介の中で,次の懇談会で取り上げる話題を募りました。今回は最近の例会の中では特に参加者が多く, 様々な意見を聴くことができました。懇談会では、躁うつの環境要因や睡眠障害等について、皆さんの経験談を共有しました。睡眠障害に関しては困っている方が多かったため,皆真剣に体験を聞き合っていました。
以下は当日のスケジュールと,懇談会で話し合ったことの要約です。
・14:00〜14:50 フリートーク自己紹介
・15:10〜15:35 1.躁うつになる環境要因にはどのようなものがあるか
・15:45〜16:10 2.障害によって差別や嫌がらせを受けたとき,どのように訴え,闘うのか
・16:10〜16:15 スタッフよりお知らせ
・16:25〜16:55 3.睡眠障害全般について
・16:55〜17:10 4.暴力衝動があるとき
・17:10〜21:00 懇親会(買い出し・片付けを含む)
【参加者自身が自分が躁うつになったと考えられる要因】
◯遺伝的要素が強いと思う人⇒ 15人
◯躁うつ病気質を小さい頃から持っていたと思う人⇒ 7人
・高校のころから部活にのめり込むなどの気質はあった。軽躁であったかもしれない。
・18歳ごろにパタっと気分が変わった。太宰治の「トカトントン」みたいに,いきなり,今まで楽しかったことに興味がなくなった。
・生育環境に関しては,自身が自分の母のことを気にしなければならないような状況であった。いわゆる機能不全家族であったと思う。・18歳のころに免許をとってすぐに北海道旅行に出た。また,同窓会の幹事を行うために,準備に時間をかけたりもしていた。これは,元々の気質でもあるが,「大きなこと」をやること事態がトリガーになってもいたかもしれない。
・受験をサボってまで四国一周旅行をしまくった。
◯昔の何かしらの出来事がトリガーになったと思う人⇒ 13人(「全くない」人が2人)
・過労で病院に言ったら「疲れ」と言われたが,その後,希死念慮に襲われた。その時に,医師にうつだと言われ,パキシルを処方されたのがトリガーになって,躁うつ病になった。
いわゆる薬物躁転。しかし,もしかしたら元々,躁うつ気質はあったかもしれない。
→この流れで,薬物躁転をしたことがある人を聞いたら11人が薬物躁転をしていた。
・職場の役職が変わる前は,サービス残業が全く苦ではなく,つまり躁状態であった。しかし,役職が変わった後はキャパオーバーになって気分が滅入っていった。自分は元々躁うつ気質であったが,仕事の役職変化が躁うつ病発症のトリガーになったと思う。
・ストレスがなくなったことでうつ病が出た。今までは自分自身がいわゆる「バカ上司」で,部下などを左遷しまくっていたし,クビにもしてきた。が,あるときに気が抜けて,うつになった。今思うと,クビ・左遷などをしていたこと事態が躁だったのかもしれない。
・上記の件では,結局自分が「なんでもできる!」という万能感があったことが原因なのではないか?自分は警官に喧嘩を売ったりもしたので,やはり躁状態の万能感が原因なのでは。
・自分はイベントの仕事をやっていたが,かなり重要な仕事が4件も重なったことがあった。そのため,イベント本番中に疲れ切って寝込んでしまった。自分で全てを抱え込んでしまい,周りのヘルプに頼れなかった。これが,トリガーとなった。
・空の巣症候群(子供が巣立っていってしまうこと)。
◯自分が職場で差別を受けたり,嫌がらせを受けたりしたことがある人の体験や,差別や嫌がらせの訴え方・闘い方への意見
・自分は障害があるにもかかわらず,「同じ質問を何度もするな」,のように怒られる。
・自分はオープン就労なのに,残業させられる。しかし,遅刻などが許されることは助かる。ただし,少し辛く当たってくる人もいる。
・直属の上司と折り合いが悪く,障害のことで嫌がらせを受ける。自分は上司にゴマをすらないタイプなので,差別は受けやすいのだと思う。もしも差別がひどくなれば,労働基準局,東京都弁護士会,労組,などに訴えようと思っている。
・直属の上司ももちろん,周りの社員も人事も,理解がない。第一,人事が上司の妻であるので訴えたところで意味がない。唯一頼りにしていた社員も異動になってしまったので,今はかなりつらい状況にいる。
・障害者就労だと,人事部・総務・経理に配属されることが多いらしい。
・障害者のみで作業するグループを作る会社と,障害者をバラバラの部署に配置する会社がある。
・労働基準法違反の行為があるかどうかが一番重要。それがなければ,労働基準局への訴えは難しい。ただ,人間として不当な扱いを受けていれば,労組に言うのがいいかもしれない。または,弁護士会を通じて裁判ができる可能性もある。しかし,それにしても決定的な差別等の内容がないと,裁判にまで持っていくのは難しいし,お金もかかる。周りに自分と同じような環境の人がいれば労組を作るという手もある。それ以外では,既存の労組に入ることもできる。
・障害者就労だと,ジョブコーチ,サポーターが3ヶ月ほど着くこともあるので,頼ることはできる。定着支援がある。そのような方とコミュニケーションを取っていれば役に立つこともある。
・自分は就労移行支援に通所していたころから支援員がついていたのだが,途中で辞めてしまった。支援員は変更になったのだが,いきなり支援員が変更になるというのは不安なことであるし,結局その方との相性も悪かった。
・弁護士会については,弁護士も様々な人がいるので,頼れるのかというと正直不安なこともある。
・職場で,「自分は今,弁護士に相談しているんですよねー」みたいな態度を醸し出したり,言動を取ってみたりすることも効果的かもしれない。わざと机の上に関連書類を並べてみたり…。このようなことを続けて上司に恐怖感を抱かせるのも一手。
・特に男性は,躁うつになったときに困るのは仕事の面なのだな,と思った。逆に,女性の困りごとは主婦としての困りごとや子供の有無での困りごとのほうが多いような気がする。
男性と女性では意外と困ることが違うのではないかと思う。特に家事へのストレスは女性に多いこともある。
・2017年より会員制が始まりました。
・年会費1,200円で,参加費無料で参加できます。・会の総意で物事を決めていくための会員制なので,会員になれば,会を皆さんと共に作っていく主体になることができます。総会に参加し,議決に参加することもできます。
・スタッフ会議にも参加できます。
・レクへのお誘いも致します。
◯睡眠障害に対して,何か悩んでいること,工夫していることについての意見
・健康的な睡眠は6.5時間が良いらしいが,自分は4時間か5時間しか寝ていないし中途覚醒や早朝覚醒がある。寝付きも悪く,薬も何度かいじっている。
・退院して間もないので,21時睡眠を守っており,6時間は寝るようにしている。これは就労してからも続けたい。また,最近話題になっているシャッフル睡眠法を導入したり,不眠時の戦略を主治医と相談したりしている。
・就労していたときの短時間睡眠に比べたらかなり良くなったので,そこまで困っていない。
・エビリファイか中途覚醒を引き起こす。夕方に飲んで,それから導入剤も飲んでいるのに,中途覚醒を引き起こしてしまう。
・エビリファイは鎮静効果を催し,定常状態を作り出すことが目的とされているので,睡眠に関しては他の工夫も必要かもしれない。
・入浴時間。お風呂に入って体温を高めてから眠剤を飲んで,それから寝る。ベンゾ系の眠剤は認知症リスクを高めるらしいので,ベルソムラに変えた。
・自分はベルソムラでは全然眠れないし悪夢を見るので起きてしまう。
・7〜8時間寝られるし,入眠も覚醒も問題ないが,症状が悪いとどちらも問題が出て来る。また,アラームをかけても自分で消してしまい,会社に遅刻してしまうこともある。医者は睡眠導入剤を出してくれないので,飲んでいない。朝起きられないのが苦しい。
・今は中途覚醒や早朝覚醒が多いがあまり気にしないようにしている。寝る時間は1時か2 時。これまでは眠剤としてセロクエルを飲んでいたが,動悸がするので,飲まなくなった。
・風呂に寝る直前に入らないこと,通勤は極力歩く,スマホは寝る前にいじらない,等の工夫はしている。睡眠は5時間ほどで保てているが,入眠困難なこともあった。
・レンドルミン・ロナセン・アキネトンを眠剤として飲んでいる。ロナセンに辿り通くまでには薬を6錠試した。睡眠時間は8時間にしている。また,コーヒーに気をつけていて,一定の時間からは飲まないようにしている。
・今は過眠状態である。21時前には寝て,朝7時には起きている。自分では寝逃げに近く,辛いから寝ている,という感覚があり,あまりよくない傾向だと思っている。やらねばならないことなどが睡眠のせいでできなくなる。フルニトラゼパムを飲んでいる。
・以前は入眠剤が出されていたが,効かなかったので今は眠剤は全く飲んでいない。自分も 21時か22時に寝て,4時5時に起きるようにしている。安眠CD(安眠時の自分の脈拍に一番近いCD)を効いて寝るようにしている。朝日を浴び,園芸を朝から行って自律神経を整えることでよく寝られている。自分は不眠と過眠が交互に来るのでコントロールが大変。
・ルネスタ・フルニトラゼパム4mg飲んでいるが,耐性がついたし,ハルシオンもそうであった。なので今は,薬よりも運動をすることを心がけている。そのおかげで寝付きは改善しないものの,中途覚醒はまあまあよくなっている。
・寝る前には熱い風呂には入らない。今は不眠はないが,以前寝られなかった時期があったので,眠れなかったらどうしよう,という不安のせいで眠れなくなることがある。そのようなときのみルネスタを飲んでいる。
・基本的に眠ることはできているが,以前は眠れない不安に駆られて眠れなくなっていた。今は,薬を飲まずに,わざと家事を増やして身体を疲れさせて眠るようにしている。例えばドライブに行ったり,園芸関係の仕事で,楽しみも兼ねて身体を疲れさせている。
・幼稚園のころから不眠があり悩んでいた。また,躁うつの波についても睡眠が関係しているということなので,自分なりに調べた。しかし,まだリラックスの方法が見つかっていなく,どうやったら寝られるのかがわかっていない。ベルソムラを飲んだら,頭の中で「地震が起きた」のでだめだった。今はマイスリーを飲んでいる。現在の仕事はPC等,デスクワーク中心なので,睡眠の質が悪くなっているのも1つの原因。
・強烈な眠剤(ベゲタミンA,ラボナ,イソミタールブロバリン等)をODをしまくったし,ベンゾについてはすでに依存しているので何の眠剤も効かない。眠れないのはもはや自己責任だし仕方がないと割り切っている。
・導入剤と中長期型の眠剤が2種類出ているので,眠剤はこれ以上は出せないとのことで,向精神病薬を処方されている。また,ゾピクロンも飲んでいるし,最悪隠し持っているフルニトラゼパムを飲んでいる。肩こりが酷いのも睡眠妨害の1つなので,スマホは22時以降使わないようにしている。それ以外には,ネコのブログなどで癒やされた後,睡眠薬を飲んでから寝る,ということも実践している。さらに,自分の中で「眠りにつきやすい思考」というのがあるのでそれを考えるようにしている。
・自分の中で何かしらの「ストーリー」を作って,その「ストーリー」を考えて,それに飽きることで眠るようにしている。
・頭の中で,時間を錯覚させる。寝なければいけない時間,というものを,そうではない時間に頭の中に置き換える。本当は夜の1時でも,昼間14時であるのだ,と錯覚させる。
・前立腺肥大の治療のせいで夜3回くらいトイレに行かねばならず,中途覚醒は仕方ない。入眠時も困っていて,妻が全く寝られず苦しんでいるので,自分も付き合うのでそれまで眠れないということがある。通常は寝るときは頭の回転が鈍くなるはずだが,我々はそんなことがない。なので,頭の回転を鈍くすることが必要だと考えていて,どうでもいい番組を見たりしている。
・睡眠に困っている人向けに,日本睡眠学会で「12条の睡眠指針」みたいなものが出されている。入浴や運動のことなどの情報が含まれているので,そういった知識を仕入れておくのもいいかもしれない。
・ベルソムラを2ヶ月飲んでもダメだったので,前回の通院でレンドルミン・コントミン・フェノバルビタール,などを処方された。そうすると眠れるようになった。
・睡眠リズム表を付けるのも手である。今ではそのようなアプリがあるのでそれを活用するのも良いと思う。
◯暴力(攻撃含む)衝動がある人は10名であった。
・理由なく,自分の感情も分からずに,いきなり相手を殴りたくなることがある。
・自分は女性で腕力もないので,殴るとか蹴るのでなく,口で攻撃することになってしまう。
・朝起きたらぬいぐるみに包丁が刺さって落ちていたことがあり,怖い思いをした。
・ハサミを投げつけたことがある。
・ダンボールをグサグサと包丁で傷つけることもある。
・どうしても暴れたくなるときは,バッティングセンターに行くなどして解消している。
・イライラが破壊衝動になる場合があるが,それが人に暴力という形で向くのはめずらしいかもしれない。
・理性を働かせたり,相手の立場や相手の困っていることを考える。人のためにアイデアを出すことをとにかく考えているので,暴力衝動は出てこない。
今回も、躁うつ病特有の経験や不眠などに対する様々な智慧を皆で共有し合うことができました。今回の話が,少しでも皆さんにとって有益となれば幸いです。
関東ウェーブの会は、今年から当事者会としての会員制へと踏み切りました。当会は、今まで通り会員・非会員問わず、会をすべての躁うつ病者に開かれたものとするとともに、運営主体をスタッフだけではなく、会員の総意として発展させていきたいです。関東ウェーブの会スタッフ一同
2017 年度第7回例会は 10月7日(土)を予定しています。詳しくは「お知らせ掲示板」を御覧ください。ご参加お待ちしております。 11月は4日(土)を予定しています。基本的に今後の例会は, 毎月第一土曜を予定しておりますが,12月と2018年3月は日程が変更される可能性があります。お手数ですが、参加の際には参加表明をしていただけると非常に助かります。