関東ウエーブの会第 9 回例会 報告

 

 今回はゲストが2名来て下さり、スタッフも含めて24名の方々が参加されました。皆さんどうもありがとうございました。

 初めは、皆さんに自己紹介をしていただきました。その次に行われた懇談会を要約します。全部で3つの話題を話し合いましたが、大人数だったにも関わらずとても親密に和気あいあいとした雰囲気でお話しすることができたと思います。

 

 話の流れとしては以下の通りです。

 

1.躁、軽躁の時に自分自身でできる対処法(金銭管理など)

2.うつが強くなった時の抜け出し方

3.障害をどのような気持ちや立場で乗り越えようとしているか?

 

 

1.躁、軽躁の時に自分自身でできる対処法(金銭管理など)

 

  *軽躁時の金銭管理

 

・大きい買い物で言うと、仕事の効率をよくしたいと、今よりも性能の良いパソコンなどの電子機器を買ってしまう。

 

まじめな躁の出方ではないか。

 

・洋服を買ってしまうので、昔は高いのでは4〜5万のものだったが、最近はセールで安いものをたくさん買って欲を満たそうとしている。

 

・私も洋服を買ってしまう。一人では着まわせないのは分かっているのに、色違いをたくさん買ってしまう。値札をつけたまま放置。 対処法としては、4〜5万を超えないように上限を決めておくことと、金銭管理につながるか分からないけど、たまった服はメルカリなどで売ってしまうこと。

 

・趣味にお金を使ってしまう。熱帯魚の飼育をしていて、飼育に必要な機具を予備でいっぱい買ってしまう。2〜3万と、かなり値段は高め。

例えば、60センチの水槽用のフィルター。結局使わないので、上記の方のようにオークションで売って元を取るようにしている。

 

趣味で躁を発散するのは健康的な発散と言えるかもしれない。

 

・ネットショッピングに走ってしまう。家の中で必要なものを買うのだが、いざ届くとイメージとは違うものだったりする。将来的に欲しい物のためにお金を貯めていても、他に使ってしまってなくなってしまう、一人暮らしなので止めてくれる人がいない。近くにいて止めてくれる人がいたら羨ましい。

 

・私も昔は毎日のようにネットショッピングをしていたので、クレジットカードをはさみで

切った。一通り買い終わったら、古いものを全部捨てるようにしていた。

 

ご自身で躁を止めることはできたのか?

 

症状は症状としてしょうがないので、止めることはできなかったが、何十万は超えないようにと制限はかけている。

 

・昔はスロット依存症だった。上限を決めていた。

 

上限は自分の中で決めていた?

 

友人からアドバイスをもらった。提案された額が5万。またさらに自分で 4 万円に下げた。その分使っちゃったら帰るようにしていた。

 

・最近あったこと。早朝覚醒して3時半に起きた。商業施設が開く10時に町に繰り出して、所持金の半分は貯金しようと思っていたけど、一日の数時間で一つの洋服店ですべて使ってしまった。定員さんに進められたのを断れなかった。

 

・この病気になると貯金が難しい。

 

・皆さんに貯金はできているかと挙手でお聞きしたら、貯金ができている方は半分ぐらいだった。

 

・貯金はとても苦手。お金の管理は半分家族にしてもらってコントロールしている。皆さんのように服などに使ってしまう。対処法として、物欲が高い傾向になったら、100円ショップに行く。

 

大人買いするんだったら 100 円ショップで何がおすすめ?

 

キーチェーン系。ADHD の特性で落とし物が多いから。・活用できるものにお金を使うのがいいと思った。

 

・躁でもちゃんと費用対効果を考えながら買い物をしている。

 

・欲を抑えていると苦しいので、返品可能なお店で買い物をするようにしている。H&M forever 21。安心感を持って買える。店が推奨しているから罪悪感もないし、いくつかのお店を回ることもできる。いざ平静さを取り戻して、返品する時期となると、めんどくさい。ので、ああ、買い物って手間がかかるのだなと実感できる機会にもなる。

 

アマゾンの「欲しい物リスト」も同じ要領で使える。

 

・「薦められると断られない」と言われていた方がいたが、どういう心境なのか。

 

試着していて、お店の人が「お客様いかがですか」、「このパンツがそれと似あいますよ」と実際センスの良いコーディネートをおすすめしてくる。それをやれば結構な金額はいくというのは頭にあったのだけど、3点買うと10%オフとかにも誘惑されて、断れずに買っちゃった。

 

・躁うつ的性格として、断れないというのもあるかもしれない

 

・対処法としては、躁を抑えるしかない。つまり、薬で対処するしかない。

 

・100円ショップと返品可能のお店とかアイディアをいただいて、それらが揃っているは「ららぽーと」で買い物しようと思った。

 

・躁状態の時にすぱすぱ決められるというのが一般通念だと思うのだけど、私の場合は躁状態の時はむしろお店に入ると頭がふわっとなって何を買えばいいか分からなくなる。

 

その場合は、事前にメモをしていくと良い。

 

・メモをしても同じような商品で悩んでしまう。

 

・「やりたいこと」の半分だけをするということを心がけている。

 

・やりたいことにストップをかけることができるのは次のうつの怖さを分かっているから。・皆さんに躁転時にどのような頓服で対処されているか、お聞きした:

 

 ‐ジプレキサ(ザイディス錠なら口の中で溶けて水無しでも飲める)

 ‐リスパダール液

 ‐ワイパックス

 ‐レボトミン(でも耐性が出来てきている)

 ‐クエチアピン(でも太っちゃう・・・。)

 

・対処法は2種類ある。躁とか軽躁を意図的に抑えるのをがんばる。この場合は、頑張って横になってスマホなどをしながら気を紛らわす。

 もう一つは、逆に躁のエネルギーを発散すること。この場合は、誰かに向けると迷惑なので一人カラオケを 8 時間とか、バイクをぶっ飛ばしてヘルメットの中で奇声を発したり、深夜に全力ダッシュをする。

 

スマホを見ていてネットショッピングに走らないか。

 

・節約をゲーム感覚で管理している。スマホの家計簿アプリで家計簿を三年つけている。

ダイエットと似た感じで楽しみながら。

 

・禁煙アプリにも「いくらいくら節約した」と表示されて、毎日一回はアプリを見て励まされる。

 

 

 

 *仕事と躁

 

・仕事をし始めると楽しくなってきて、職場から離れても常に仕事が頭にある。クオリティがいい仕事をやろうと周りが見えなくなってより没頭してしまう。気が付いた時に弾けて躁がイライラに変わってドーンとうつになってしまう。

 

・力の60%しか使わないようにと、セーブを心がけないといけないのは分かっているんだけど、それが守れない。

 

・対処法としては、仕事とは全然関係ないことで気をそらす。お酒、家庭菜園。・私もがんばりすぎちゃう傾向がある。対処法としては、カミングアウトをして上司に伝えちゃう。上司でなくてもいいから、信頼できる人に相談する。

 

・野球の比喩。結局評価されるのは満塁ホームランをできる選手ではなくて、野村のように打率が上がる選手。クオリティを上げようと思っても結局はダウンして周りに迷惑をかけるのを考えると、セーブをしながら仕事を継続していく方に目を向けた方がいいのかなと。上司の立場からしてもクオリティよりも継続してできる部下の方がいいはず。 

 

・理性で思ってもなかなかその場で抑えきれない。

 

 

2.うつが強くなった時の抜け出し方

 

・ストレスコーピング

 自分はこれをやって気持ちいいと思えること、楽しいと思えることをいくつかピックアップしてノートに書き留めておく。気分が落ち込んだ時に見返して実践してみると、だんだん落ち込んだ気持ちが上がってくる。

 なんでもいい。お気に入りのカフェの、このスイーツがおいしい。この赤いワンピースを着ると気分が上がる、等。

 できるだけ具体的で、数が多い方がいい。漠然としているんじゃなくて、例えば「音楽」とかじゃなくて、「ミスチルのこの曲」。最低でも50が好ましい。

 それをやってみると自分がどういう人間なのかというのも分かってくる。好みから自分のキャラクターも再度捉え直すことができる。

 

・三環系抗うつ薬を飲んでいるが、とくに上がらずうつ状態が続いている。

 三環系抗うつ薬を飲んだことがあるか、皆さんにお聞きしたい。

 

 ‐挙手でお願いしたら、3 人が飲んだことがあった。

 ‐飲んだら、躁転しました?

 ‐ラピッドサイクラーになった。

 

・ジム・フェルプス著 『「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極U型障害と軽微双極性障害を学ぶ』

 アマゾンの「内容紹介」抜粋:「本書は、長引く抑うつ状態に苦しんでいる人に対して、双極U型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示している。」

 

・抗うつ剤でうつが上がらないから、自分は躁うつ病ではないのではないか、とさえ思えてきた。

 

躁うつ病は抗うつ剤で上がる以外にただ効かないことも多い。

 

・「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」というマンガがある。だけど有名人ばかりだからなぁ。

  

 

3.障害をどのような気持ちや立場で乗り越えようとしているか?

 

・躁うつ病であるということをオープンにしていないが、オープンにするべきかな。躁うつ病の症状がパーソナリティとして周りに捉えられているとして(例えば、明るくて行動力がある)安定を図ったら周りが離れてしまうのではないかと不安。躁を懐かしく思ってしまう。

 

・「障害は何なのか」ということを踏まえた上で気持ちや立場を考えるようにしている。会でも話されたことがあるけれど、社会的には「障害者」とは労働力を貢ぐことができない存在。そこから、高見に立って、前向きに障害を考えたい。つまり、生産性があるということは賃労働に限らないじゃないかと。

 

・障害者のケアマネの勉強をしている。資格を取っていく。「障害者であり障害者と一緒に仕事をする」という気持ちや立場で乗り越えていく。

 

・この病気になってしまったのは自分のせいだと受容した。いかに迷惑をかけないかということに気を付けている。就労を目指している。偏見差別をされる覚悟で挑む。

・・・と言っても、そんなメンタル強くないです。

でも、それぐらいの気持ちじゃないと障害者雇用は難しいかなと。

ここに来ることで躁うつ病を自覚させているのもある。

 

・躁で多くの友人をなくした。人生は、自分が主人公のストーリーと考えると、今ここで終わったらかっこ悪い。今を起承転結の「結」にしない。むしろ成長の糧にする。・障害は個性でもあり武器でもある。障害特性というのがある。躁うつだったら行動力、前向きさ。うつも一歩物事を引いて考えられることが「武器」になる。

 

・あまり障害者意識がない。ここの会に来ている理由の一つは躁うつ病だということを忘れないようにするため。すぐ忘れてしまう。障害とは思っていないけど、いつも思うのはできないことが多すぎるということ。みんなが普通にできることができなくて困っている。できないことは認めることにする。乗り越えるというより毎日をやり過ごす。あんまり意気込まない。

 

・上記に周りから見て躁が自分のパーソナリティと捉えられていると言われた方がいるが、考えてもどうしようもないから考えない。発病前も後も自分は自分。乗り越える必要は特にない。闘う必要はない。あまり意識すると、病気を必要以上に大きい恐怖として捉えちゃう。

 

・可能なことをして、できないことを無理やりすることはない。妥協できることは妥協して、できることは一生懸命全力でやる。

 

・乗り越えるのではなく、共に生きていく。自己理解も深めていきながら進めて行けたらなと思う。

 

・病気で色々無くしてきたこともあると思うけど、人生楽しもうと思う。僕がハッピーだと周りの人がハッピーになるので。

 

・障害者とか健常者とか分けて使うのは好きじゃないけどあえて使うなら、障害者として、健常者では体験できないようなことを体験して、ある意味視野が広がっていると考えるようにしている。

 実際障害を抱えながらピアカウンセラーとかのお仕事をされている方もいるし、障害を持っているからマイナスになることばかりではない。

 

・「乗り越えよう」ということがどういうことか分からない。それよりも受け入れること。上記の方がオープンにするかどうか悩んでいたけど、言わなくていいのだったらあえて言う必要はないと思う。

 

・結論から言うと、乗り越えようという風には考えていない。受け入れた上で、どう生活をしていくかという風に捉えた方が前向き。躁うつのことを意識していると選択肢が狭められてしまう。

 

・乗り越えようとは思っていない。では、全部受け入れられるかというと、消えてなくならないものはある。何か心の支えがあるといい。会社を休職している間にやりたいことをやろう。文章を書くことが好きで小説を書くために毎日書き続けた。賞にも出した。

つらければつらいほど書く方にエネルギーを向ける。

 

・あまり障害者だということは自分が意識したことはないけど、気分の波があるという病識はしっかり持つようにしている。それをきちっと押さえておけば、障害者とか健常者とか線引きして考える必要がない。

 躁うつ病から解放されたいのだったらそれを考えないのが一番。躁うつ病は乗り越

えるものではなくて、受け入れることなんだと言う皆さんの話しを聞いて安心した。

 

・受け入れる方向。有名な映画で「英国王のスピーチ」というのがある。コンプレックスを受け入れる映画。それを見て私は障害は自分の一部だと受け入れるようにした。  病気になる前にも泣いたり笑ったりを繰り返して感情の起伏が激しい人だった。多少なりとも周りに迷惑かけることがあるかもしれないけど、これがザ・わたし!と思えるようにしている。

 

・乗り越えることも受け入れることもできない。やったのは安心できる人を見つけて頼ること。死にたい時は話しを聞いてもらった。生きるだけでいいからと言われて何とかやっていけた。

 

・皆さんと同じで乗り越えるというよりは受け入れる。最初ちょっとおかしいなと思って、精神科に行くのは最後の最後まで抵抗があった。色んな療法をやっても全然治らない。診断を受けても受け入れられることはできなかった。過去の自分と今の自分を比較してしまう。過去の自分はあんなにできたのにと絶望的になってしまった。習慣化して、悲観してしまう。

 でもだんだんいろんな経験を通して、この病気をもうちょっと理解しよう、もう少し詳しく見てみようと思えるようになった。そうすると過去の自分は過去の自分で、今の自分は特性として捉える。

 今を楽しもう。何か大きいことじゃなくて、小さな小さな変化に気づけるような人間になろう。そういう感情を一つ一つ誰よりも大切にしていく。少しずつ過去を比較すること

がなくなった。未来を見ると悲観してしまうので、今の自分を大事にする。

 

・理不尽な経験を経て病気になった、受け入れようと思ってもその想いが持ち上がってしまってなかなか受け入れられない。苦しくもがいていたけど、感謝しないといけないんだけど、なかなかまだまだ割り切れていない。

 皆さん言っていることがすごい。過去の自分がやったことを受け入れないと、根本的なことがなかなか解決できないから色んなご意見いただけてありがとうございました。

 福祉の仕事は天職。福祉系の仕事をしながら自分の傷ついた心を癒していく。

 

・自分の体験を活かせればと思った。

 

・受け入れるということはおっしゃることはすごい分かるけど、パッとすぐには難しい。まだまだ立ち向かっていく力がない。経験値が浅いのかな。だからと言って全然悲観的に受け止めているわけではない。

 前向きに今の自分を見つめている実の声をここで初めて聞けたので、今後の自分の糧になると思います。ありがとうございます。

 

・ポジティブに自分の障害を受け入れる。薬を飲まないといけない、寛解をできるのかな、できないのかなと思いつつ、色んな中で、私は躁うつ病歴が長くなったけど。受け入れるのに 3 年はかかった。

 

・社会的には立場が狭まるけど「人間とは何か」と視野が広がる。障害は、それを考えさせれる時間を神様が与えてくれたんだと思おう!

 

 懇談会の報告は以上です。懇談会終了後の経過としては、懇親会で夕食を食べて、歓談しました。その後、有志で二次会を行い、居酒屋へ行きました。

 短い時間でしたが、とても心温まる例会でした。みなさんお疲れ様でした。また会いましょうね!

 

**会よりおしらせ**

 

2017 年度の会費が 600 円になりました。参加費プラス 300 円で会員になれます。

躁うつ病当事者が軸になって会の方向性を決めていくために当事者会にしたので、できるだけ色んな声をその中に取り入れていきたいです。貴方の声をプラス 300 円で下さい!